「最近お腹の調子が悪いな、もしかして過敏性腸症候群(IBS)?」
こんな不安を感じたことありませんか?
IBSは慢性的な病態であり、適切な理解と対処が必要です。
IBSは日本で10人に1人持っていると言われており、
他人事ではありません。この記事を読んで是非理解を深めましょう。
過敏性腸症候群(IBS)とは何か
IBSは、腹痛や腹部の不快感を伴う症状群であり、便通異常が特徴です。便秘や下痢などを認めます。
診断基準には、ローマ基準IVがあり、これをもとに診断していきます。
Bowel Disorders. Gastroenterology. 2016 Feb 18;50016-5085(16)00222-5. PMID:27144627
意外な原因
IBSの発症には、色々な要素がありますが、特にストレスや食生活が深く関わっています。ストレスは腸の動きを乱し、食生活は腸内環境に影響を与えます。これらの因子は、脳腸相関と呼ばれるプロセスを通じて、IBSの症状を引き起こすことが科学的に示されています。
(過敏性腸症候群ガイドライン2020)
過敏性腸症候群の診断
先ほど紹介したローマⅣ基準をもとに診断します。
過敏性腸症候群は腸事態に大きな問題がない病気です。
- 「腸事態に炎症がないか」
- 「そのほかの全身疾患に伴う症状でないか」
を確認することが重要です。
そのため、「血液検査」「大腸カメラ」も推奨されています。
IBSの治療
治療は「食事療法」「ストレス対策」「薬物療法」
が重要です。
食事療法
IBSの管理には、低FODMAP食品の摂取が有効です。
Staudacher HM, Whelan K, Irving PM, et al. Comparison of symptom response following advice for a diet low in fermentable carbohydrates (FODMAPs) versus standard dietary advice in patients with irritable bowel syndrome. J Hum Nutr Diet 2011;24:487-495
FODMAPとは、
- fermentable [発酵性]
- oligosaccharides[オリゴ糖]
- disaccharides [二糖類]
- monosaccharides[単糖類」
- polyols[糖アルコール]
を多く含む食事です。
小麦、タマネギ、ひよこ豆、レンズ豆、リンゴ、トウモロコシ、牛乳、ヨーグルト、はちみつなどは FODMAPを多く含む代表的な食品である
その他「脂質」「カフェイン」「香辛料」も増悪させるという報告があります。
とりすぎには注意しましょう。
(過敏性腸症候群ガイドライン 2020)
具体的な食材に関してはこちらのサイトに
詳しく書いてありますので、
参考にしてみてください。
ストレス対策
また、マインドフルネスや運動によるストレス管理も、症状の軽減に役立ちます。
日々継続していくことで効果がでますので、頑張ってやりましょう。
詳しくは以下のサイトを参照ください。
薬物療法
薬物療法は「西洋薬」と「漢方薬」があります。
過敏性腸症候群はストレスの関与が強いので、
ストレスの影響が強い場合は漢方薬を使います。
また、腹痛が強い・便秘型・下痢型とどの症状が強いかによって薬を使い分けていきます。
ここで代表的なものを紹介していきます。
西洋薬
・高分子重合体:この薬は過敏性腸症候群用に開発された薬です。
ベースとして使われる事が多いため、最初に投与する事が多いです。
・5-HT3受容体拮抗薬:下痢型に使う薬です。
・便秘薬:便秘型には便秘の薬を使い、便通コントロールをしていきます。
漢方薬
ストレスが強い場合に使うことが多いです。
過敏性腸症候群で良く使われる薬をいくつか説明します。
- 「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」:どのタイプにも有効なため、過敏性腸症候群のベース薬として使う場合があります。
- 「桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」:こちらは上記の薬よりストレスをカバーしたものになります。
このように、「西洋薬」「漢方薬」ともにその人のタイプによって薬を使い分けます。
そのため、薬の調整は個人個人で効果的な薬は全然違います。オーダーメイド医療になりますので
是非相談してください。
最後に
この記事を読んで、IBSかもしれないと感じたら、病院にご相談してくだい。あなたの健康的な生活への一歩となることを願っています。
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