「鼻が詰まって眠れない。」そんな経験はありませんか?
鼻詰まりがあると睡眠の質に影響を与えていると報告があります。(1)
(1)William Storms. Allergic rhinitis-induced nasal congestion: its impact on sleep quality. Prim Care Respir J. 2008 Mar.c
また、花粉症(アレルギー性鼻炎)だと思って放置していませんか?最近の報告では花粉症(アレルギー性鼻炎)と言われ薬をもらっている患者の中には慢性副鼻腔炎が40%程度隠れているという報告もあります(2)
(2)Houssein FA, et al. When It’s Not Allergic Rhinitis: Clinical Signs to Raise a Patient’s Suspicion for Chronic Rhinosinusitis. Otolaryngol Head Neck Surg. 2024 Jan 31
そのため、鼻詰まりを放置しないで対策をとりましょう!
この記事を読めば
- 鼻が詰まるメカニズム
- 鼻が詰まる原因
- 治療
について、科学的根拠と共に解説します。ぜひ読んでみてください。
目次
鼻が詰まるメカニズム
鼻詰まりは、鼻腔内の血管が拡張し、粘膜が腫れ上がることで起こります。アレルギーや風邪、細菌感染などの炎症反応が原因で、これらは鼻の通り道を狭め、呼吸を困難にします。また、鼻の構造上の異常も鼻詰まりを引き起こすことがあります。これらの状態は、特に夜間に悪化する傾向があります。
なぜ夜に鼻がつまるのでしょうか。
鼻の組織は様々な神経で支配されています。
生理的な現象として、鼻詰まりを増悪させる因子があります。夜間に増悪させる因子として2つあります。
1:姿勢による影響
仰向けになると鼻詰まりは増加します。横に向くと下になった鼻が詰まります。
2:温度による影響
皮膚が高温でも低音でもくしゃみが起きやすくなり鼻汁が出ます。
そのため、夜間は特に症状が悪化しやすいです!
そのため、睡眠の質を低下させるので、しっかり対策したいです。
鼻が詰まる原因
どんな病気があるの?
原因は多岐にわたりますが、大きく分けると、「鼻の粘膜が異常」「構造の異常」に分かれます。
代表的なものを紹介します。
ウイルス性副鼻腔炎、細菌性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、薬剤使用に伴う鼻炎などが粘膜関連の原因です。一方、アデノイド肥大、外傷、腫瘍などが構造関連の原因として挙げられます。
構造の異常がある場合は耳鼻科での対応が必須になるので、耳鼻科に受診しましょう。
内科系でよく見るのは「副鼻腔炎」「アレルギー性鼻炎」です。
紹介していきます。
●副鼻腔炎
副鼻腔炎は大きく分けると急性と慢性があります。
症状が3ヶ月以上続く場合を慢性といいます。
症状は主に
- 鼻詰まり、ドロドロの鼻水
- 顔面の痛み
- 嗅覚障害
- 咳
- 熱
などがあります。
それでは急性と慢性について解説します。
・急性副鼻腔炎
ウイルス性と細菌性(バイ菌)があります。
ウイルス性の場合はいわゆる風邪が原因でおきます。風邪により鼻水がでて、粘膜が腫脹しているためです。
基本的には風邪薬による対処療法となります。10日以内には改善することが一般的です。
重要なのは細菌性副鼻腔炎です。
- 10日間以上症状が続いている
- 39度を超える発熱がある
- ドロドロした鼻水、顔面の痛み・頭痛が3日以上続く
この場合は積極的に細菌性副鼻腔炎を疑います。
抗生剤による治療が必要となります。
必ずお近くの医療機関に受診しましょう。
・慢性副鼻腔炎
3ヶ月以上続く場合を慢性副鼻腔炎と言います。
症状は
- ドロドロの鼻水
- 鼻詰まり
- 顔の痛み
- 嗅覚障害
が主な症状です。
このような症状が2つでも自覚する方はすぐに病院に受診しましょう。
治療は
- 抗生剤
- 気道粘液修復薬
- 点鼻薬
- 漢方
などがあります。
基本的にはどれも医療機関での治療が必要です。
アレルギー性鼻炎 アレルギー性鼻炎は、日本国内で約3人に1人が悩まされており(3)、
⚫︎アレルギー性鼻炎
(3)花粉症環境保健マニュアル2022年 環境省
季節性の花粉症や通年性のハウスダスト・ダニが原因です。
大人と子供の違い
大人と子供の鼻詰まりの違い 大人と子供では、鼻詰まりの原因と対処法が異なります。特に子供はアデノイド肥大が原因で鼻閉塞を引き起こすことが多いです。
- アデノイド肥大
子供の場合は構造の問題としてアデノイド肥大というものがあります。
子供の鼻閉塞に多い原因です。
睡眠呼吸障害につながったり、発育に影響す可能性があります。
いびきや鼻詰まりがある場合は耳鼻科に相談しましょう。
- 咳症状
慢性副鼻腔炎の4大症状として
- ドロドロの鼻水
- 鼻詰まり
- 顔の痛み
- 嗅覚障害
を挙げましたが、子供の場合は嗅覚障害ではなくて咳症状を認めます。(4)
(4)W J Fokkens et al. European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps 2020. Rhinology. 2020.)
咳が続いている場合、鼻が原因の場合がありますので注意しましょう!
治療
ここでは自宅でできる対処法から原因別の治療を解説します。
⚫︎自宅でできる治療
・風邪をひいた時
鼻洗浄が風邪症状に伴う鼻閉に対して、効果をしめしたという報告があります。(5)
(5) Min Jiang et al. Efficacy and Safety of Sea Salt-Derived Physiological Saline Nasal Spray as Add-On Therapy in Patients with Acute Upper Respiratory Infection: A Multicenter Retrospective Cohort Study. Med Sci Monit. 2021.
・アレルギー性鼻炎の場合
- 花粉症患者の寝室に空気清浄機を固定設置したところ、夜間に空気を濾過すると花粉症患者の症状が大幅に軽減されることが示されました。(6)
- マスクとメガネも多少の効果は示されている。(6)
- 子供や妊婦などの薬を使いたくない人は、1日3回の鼻洗浄が症状を軽減してくれるという報告や,花粉症の、薬と併用すると薬の投薬量を30%軽減できると言われています。(6)
(6)Karl-Christian Bergmann et al. Nonpharmacological measures to prevent allergic symptoms in pollen allergy: A critical review Allergol Select. 2021; 5: 349–360.
⚫︎原因別治療
・急性ウイルス性副鼻腔炎
一般的な風邪薬で対応します。症状が強い場合は漢方薬、点鼻薬を追加する場合があります。
・急性細菌性副鼻腔炎
基本的に抗生剤を使い、バイ菌を殺していきます。
その他の補助療法として、点鼻薬、漢方薬を使います。
薬局では手に入らないので、必ず医療機関を受診しましょう。
・慢性副鼻腔炎
長期的な治療が必要です。抗菌薬、気道粘液修復薬、点鼻薬、漢方などを使います。
こちらも医療機器の受診が必要です。
・アレルギー性鼻炎
抗アレルギー薬、点鼻薬、この二つがメインです。アレルギーが関与している場合は抗アレルギー薬・点鼻薬が重要です。
市販薬でコントロールできていれば問題ありませんが、コントロールが悪ければ病院を受診しましょう。
まとめ
鼻詰まりは、私たちの生活の質を大きく低下させる可能性があります。しかし、正しい知識と対処法を身につけることで、その不快な症状を和らげることができます。今夜、あなたが快適な眠りにつけるように、この記事がお役に立てば幸いです。
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