「痛風で腫れが引かない不安を抱えている」「よくなってもまたすぐに発作が起きて辛い」このような悩みはありませんか?これでは痛みと不安でいっぱいですよね。痛風は、尿酸の結晶が関節に堆積することで起こる炎症性の疾患です。この痛みは、読んで字の如く、風にあたるだけで痛いのでとても辛いですよね。
この記事を読めば
- 痛風発作の治療方法
- 腫れがひかない時はどうすればいいの?
- 発作を繰り返す場合の対策
について解説します。
これで痛風の辛い症状からおさらばしましょう。
目次
痛風発作の治療法
痛風発作の対応には
・急性期の痛風治療
・慢性期の痛風治療
とわかれます。
〇急性期の痛風治療
まずは炎症を治めます。
一般的には1〜2週間で炎症が治ることが多いです。
急性期管理の主流は薬物療法になります。
代表的な3つの薬について解説します。
・非ステロイド性抗炎症(NSAIDs)
・コルヒチン
・ステロイド
これらの薬は、痛みと炎症を効果的に軽減することが科学的に証明されています。
・非ステロイド性抗炎症(NSAIDs)
痛風発作の第一選択する薬です。
発症48時間以内に治療を開始できるといいです。
・コルヒチン
現在ではNSAIDsが第一選択ですが、コルヒチンもNSAIDsと同等の効果があると言われます。(1)
(1)Edward Roddy et al.Open-label randomised pragmatic trial (CONTACT) comparing naproxen and low-dose colchicine for the treatment of gout flares in primary care. Ann Rheum Dis. 2020 Feb.
個人的にはNSAIDsだけでは改善がイマイチの場合に併用を検討します。
コルヒチンは1錠0.5 mgであり、まずコルヒチン2錠、その1時間後にさらに1錠を投与する。翌日以降に残存する疼痛に対しては、1~2錠/日を投与し、疼痛が改善したら速やかに中止する。(2)
(2)高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版
・ステロイド
NSAIDsが無効な場合、腎機能が悪い場合はNSAIDsが使えないのでステロイドを使用します。
報告により変わりますが、20〜30mgを投与するケースが多く、2週間以内に中止します。
〇慢性期の痛風治療
慢性期の痛風治療は、尿酸値の管理と再発予防に焦点を当てます。
⚫︎治療適応
・日本のガイドラインでは痛風発作を繰り返す人が慢性期の治療適応です。
・症状がない場合の治療適応は絶対的なものはありません。
ただ、9を超えている人は将来の痛風発作の発症頻度がたかいとの報告があるので、治療を開始する人が多いです。(3)
(3)Campion EW, Glynn RJ, DeLabry LO : Asymptomatic hyper-uricemia ; Risks and consequences in the Normative Aging Study. Am J Med 82 : 421-426, 1987
⚫︎目標数値
目標数値は6mg/dL未満を目指します。
尿酸値を6mg/dL未満にすることで、2年間の発作頻度が14%まで減少できるという報告があります。(4)
(4)Akira Shoji et al. A retrospective study of the relationship between serum urate level and recurrent attacks of gouty arthritis: evidence for reduction of recurrent gouty arthritis with antihyperuricemic therapy. Arthritis Rheum. 2004 Jun 15;51(3):321-5.
⚫︎実際の治療
1:尿酸低下薬
慢性期管理の主流は薬物療法になります。
代表的な3つの薬について解説します。
●アロプリノール
昔からある尿酸の産生を抑制する薬です。安価で使いやすいですが、腎機能が低下すると減量or使えなくなります。
●フェブキソスタット
アロプリノールより新しい薬となります。アロプリノールと同じく尿酸の産生を抑制する薬です。アロプリノールとは別のメカニズムで産生を抑制します。
アロプリノールとの違いは腎機能が低下している患者にも使いやすい点です。
個人的にはよく使います。
●ドチヌラド
フェブキソスタットよりもさらに新しい薬です。
尿酸の再吸収を阻害し、尿に尿酸を捨てる働きがあります。
今まで尿酸の再吸収を阻害する薬は腎機能が低下する患者には使えませんでしたが、その欠点を克服した薬です。
2:ライフスタイルの改善:
尿酸値は食生活・運動習慣の影響を受けます。ここではとりわけ影響力のある3大原因となる
「食事」「アルコール」「肥満」に関して解説します。
●食事
①プリン体
高レベルのプリン体を含むタンパク質など、プリンを多く含む食品の摂取量が多い患者では痛風のリスクが増加します。タンパク質の摂取自体は痛風のリスク増加と関連しません 。(5)
(5)Hyon K Choi et al. Purine-rich foods, dairy and protein intake, and the risk of gout in men. N Engl J Med. 2004.
しかし、実はプリン体の摂取制限だけで、尿酸値を低下させる効果は充分ではないです。
特に重要なのはアルコールです。
アルコールについたは後ほど解説します。
https://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf引用②アルコール
アルコールは尿酸値をコントロールする上で重要です!
アルコール摂取は痛風の発症リスクを高める可能性があります。
ビール350mlを毎日飲んでいると、飲んでない人に比べて1.5倍程度という報告があります。(6)
(6)Hyon K Choi et al. Alcohol intake and risk of incident gout in men: a prospective study. Lancet. 2004.
昔はプリン体のあるビールが言われていましたが、ワイン240ml程度(グラス2杯位)などでも同様のアルコール量を摂取すれば悪化のリスクと報告されています。
③甘味料
プリン体以外にも注意が必要です。
甘味料や砂糖入り飲料の摂取は、血清尿酸値を上昇させ、痛風の発症リスクを高める可能性があります。そのため、なるべく摂取しないようにしましょう。(7)
(7)John D FitzGerald et al. 2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout. Arthritis Rheumatol. 2020 Jun.
④DASH食
今度は尿酸値を下げるための食事です。
DASH食は尿酸値を低下させる可能性があります。(8)
(8)Stephen P Juraschek et al. Effects of the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) Diet and Sodium Intake on Serum Uric Acid. Arthritis Rheumatol. 2016 Dec.
DASH食とは高血圧や脂質異常症などでも推奨される食事です。
野菜、果物、魚類、大豆類を食卓の中心として食べます。糖質や油ものなどは少なくします。
3:肥満
運動だけでは尿酸値の抑制効果は示されていませんが、肥満はリスクです。
BMI25以上でリスクとなります。(9)
(9)Hyon K Choi et al. Obesity, weight change, hypertension, diuretic use, and risk of gout in men: the health professionals follow-up study. Arch Intern Med. 2005.
そのため減量しましょう。
具体的な減量方法についてはこちらを参考にしてください。
治療がうまくいかない場合の対処法
痛風治療が効果を示さない場合、以下のような鑑別疾患が考えられます。
感染性関節炎
関節内に細菌が侵入し、炎症を引き起こす状態です。痛風は膝より末梢(指先)に発症することが多いので、膝が腫れる場合、複数の場所が腫れる場合は要注意です!
治療は抗生剤が必要になるので要注意です!
偽痛風
カルシウムピロリン酸結晶が関節に沈着し、痛風と似た症状を引き起こします。
特徴としては高齢者に多く、痛風は指先、偽痛風は体に近い大きい関節(膝、肘、手首など)に多いです。
外傷
関節への直接的な打撃や捻挫など、物理的な損傷が関節の痛みや腫れの原因となることがあります。
骨折など隠れていなか、検査しましょう。
蜂窩織炎
皮膚に感染が起こり、赤み、腫れ、熱感、痛みなどを伴います。関節近くで発生すると、関節炎と誤解されることがあります。
こちらも抗生剤が必要となるため、見逃さないように注意が必要です!
発作を繰り返す場合の対策
「プリン体を気をつけているのにどうして発作を繰り返すの?」「薬飲んでいるのにどうして?」
こんな疑問ありませんか、そんなあなた必見です。
以下の原因がないかチェックしてみましょう!
尿酸値のコントロール
5mg/dL以下に出来てなかったら、まずは5mg/dL以下にしてみましょう。
前述したように、一般的には6mg/dL以下を目指しますが、
最近の研究では5mg/dL以下にするとより発作頻度をさげられるかもしれません。
(10)McCormick N, et al. Serum Urate and Recurrent Gout. JAMA. 2024;331:417-424.
発作が頻回に起きて、薬を増量できない
慢性期治療を始めたばかりの頃は、尿酸値が高いため、発作が起きやすくなっています。
すぐに発作が起きてしまい、なかなか薬が増量できない場合があります。
その際にコルヒチンが有効です。
痛風発作の前兆期にコルヒチンを1錠(0.5mg)を使い発作を頓挫させる。患者にはそのためにコルヒチンを処方し、携行することを勧めます。
また、コルヒチン0.5〜1.0mg/日を3〜6ヶ月持続投与することで、発作を抑え、その間に尿酸値をコントロールする方法もあります。(コルヒチンカバー)(2)
(2)高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版)
増悪因子について
最大の再燃リスクはアルコールになります。
痛風患者の場合、アルコールを摂取すると、禁酒する場合に比べて再燃のリスクが高まります.(11)
(11)Tuhina Neogi et al. Alcohol quantity and type on risk of recurrent gout attacks: an internet-based case-crossover study. Am J Med. 2014 Apr.
ただ、尿酸値をコントロールしていれば少量のアルコールであれば問題ないです!
最後に
痛風発作は、適切な知識と対応で管理することができます。今回ご紹介した治療法を参考に、あなたの痛風発作をコントロールし、健康な毎日を取り戻しましょう。
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