「近くの病院に行ったけど、咳が治らない・・・、どうしたらいいんだろう」、「毎年この時期になると咳が続いている、何科に行けばいいんだろう」こんな悩みはありませんか?
今回の、記事を読んでいただければ、咳が続く場合の怖い病気、原因、対策がわかり、何科がおすすめか紹介します。ぜひご覧ください。
- 絶対見逃したくない3大疾患
- 咳が続く4大原因
- 忙しい人必見、家でできる対策!
では早速いきましょう。
目次
1:絶対見逃したくない3大疾患
まずは急に咳が出始めた時に風邪を疑います。風邪であれば自然と改善していくので様子を見ている人もいると思います。
ただ、風邪でも適切に対処しなければ増悪しますし、そのほかの疾患であれば悪化していく可能性がありますし、放置していると怖い病気の場合があります。
まずは咳がでている方で見逃したくない3大疾患について解説します。
●肺炎
肺炎には細菌性肺炎や間質性肺炎など、色々な種類があります。ここでは頻度の多い細菌性肺炎について解説します。
風邪を引いた後に合併することが多い病気です。早期に発見し、治療を行えば改善するケースが多いですが、日本の死因4位になるので注意が必要です。
・3日以上発熱が改善しない場合
・一度改善してきたのに再度悪化した場合
・食べれていた食事が食べれなくなった場合
に疑います。
検査は胸部レントゲンや血液検査で行います。
治療は抗菌薬(抗生物質)が必要となります。
●結核
2022年の結核罹患率(人口10万対)は8.2です(1)。日本はここ最近結核の罹患者数が減ってきてはいますが、アメリカなどに比べると3倍程度となります(2)。
まだまだ油断はできません。
結核の場合は急に咳をするというよりは前々から咳が出ていることなどが多いです。
血痰といって、痰に血が混じる場合などは積極的に疑う必要があります。症状は多彩であり、咳が長引くときはまずは除外が必要です。
検査はまずレントゲンを行います。疑わしい場合は精密検査を行います。
治療に関しては専門医療機関で行います。
まず心配な方は検査を受けましょう。
(1)厚生労働省 「2022年 結核登録者情報調査年報集計結果について」より引用
(2)WHO Global Tuberculosis Report 2023引用
●肺癌
肺がんの罹患数(新たに診断された人数)は年々増加しており、2018年には約12万3000人(男性 約8万2000人、女性 約4万1000人)が肺がんと診断されています。年々肺癌の死亡率は上昇しています。早期発見が重要となります(3,4)。
タバコが最大のリスクになります。
症状はない場合も多いですが、咳や血痰を認める場合には除外が必要です。
検査はまず最も簡易的なのはレントゲンです。ただ、レントゲンでは小さい癌を見落とす場合があります。
50~80歳の成人で、1日1箱(20本)を20年以上吸っている人(1日10本の方は40年、1日40本の方は10年)、もしくは吸っていた人は年1回のCT検査を推奨されています(5)。そのため、心配な方はCT検査を検討されるといいでしょう。
(3) がん研究振興財団:がんの統計2022, 2022年3月, p53.
(4) https://oshiete-gan.jp/lung/about/statistic/
(5)United Stated Preventive Services Task Force (USPSTF) 米国予防医療専門委員会 2021年Lung Cancer: Screening 参照
2:咳が続く4大原因
続いては、日常で長引く咳で多いものを紹介します。色々ありますが、今回は特に多い4つを紹介します。
ご本人様に当てはまる症状があれば、それに対応しているクリニックに受診していただければ幸いです。
報告により、若干変わりますが、疾患頻度は以下のとおりです(6,7,8)
・咳喘息 (36〜50%)
・アトピー咳嗽(15〜29%)
・感染後咳嗽(6〜10%)
・後鼻漏(7〜17%)
(6)Fujimura M, Abo M, Ogawa H, et al. Importance of atopic cough, cough variant asthma and sinobronchial syndrome as causes of
chronic cough in the Hokuriku area of Japan. Respirology 2005: 10: 201-7.(7)Matsumoto H, Niimi A, Takemura M, et al. Prevalence and clinical manifestations of gastro-oesophageal reflux-associated chronic
igh in the Japanese population. Cough 2007:3:1-4.(8)Yamasaki A. Hanaki K, Tomita K. et al. Cough and asthma diagnosis: physicians’ diagnosis and treatment of patients complaining of acute, subacute and chronic cough in rural area of Japan. Int J Gen Med 2010; 3: 101-71
●咳喘息
名前の通り、喘息の1種です。体質的に喘息の傾向がある方は、風邪をきっかけにこのような症状が起こる場合があります。特徴としては朝と夜にかけて増悪する傾向がある。季節の変わり目になるといつも咳が出てくる。血の繋がった方に喘息のご病気がある。
この疾患の場合は、喘息の治療をすることにより症状は改善します。そのため、しっかりと対応することが大切となってきます。
検査としては呼吸機能検査などあります。
治療は喘息の治療である吸入薬を使います。
基本的には何科でも処方できます。治療抵抗性がある場合は呼吸器内科に受診するのがおすすめです。
⚫︎アトピー咳嗽
アトピー咳嗽とはアレルギーが関連し、気道が敏感になっている状態です。喉がイガイガするという表現を使う人が多いです。
主にアレルギーが原因となります。
咳喘息でもアレルギーが関連しているため、症状が似ていますが、咳喘息の治療が効果ない場合などによく疑います。
治療は花粉症などにも使う抗ヒスタミン薬です。
基本的には何科でも処方できますが、アレルギーなどある方はそれを伝えると処方してもらえます。
●感染後咳
風邪をひいた後に長引く咳の原因の1つです。咳をたくさんすることにより気道が炎症し、咳が出やすくなります。いちど咳が出ると止まらなく出てしまうのが特徴です。
基本的には時間の経過で改善していきますが、症状が辛い場合は、しっかり薬を飲んで、少しでも炎症を抑えることが大事です。
また、肺炎などの病気が隠れていないか、診察することが重要となります。
検査は特別なものはなく、他に怖い疾患が無いことを確認するのが重要です。
治療は咳止めです。漢方などを併用する場合があるので相談してみましょう。
漢方などをご希望の場合は漢方内科などがおすすめです。
●後鼻漏(副鼻腔気管支症候群)
長引く咳の原因の1つとして鼻水が原因となる場合があります。鼻水が喉のほうに落ちてくることにより体を刺激して咳が出ます。この場合は咳止めだけでは改善が乏しく、鼻水の治療をしっかりすることが大切です。
特徴としては、喉にへばりつくような痰と鼻づまりがある方は要注意です。
今まで紹介してきた疾患に比べて、痰や鼻水が多いのが特徴です。
ただ、鼻水が前に出てこないで、後ろに落ちているだけの場合、鼻水を自覚できない場合も多いので注意です。
この疾患の場合は耳鼻科で検査してもらうとはっきりします。
3:忙しい人必見、家でできる対策!
検査や薬を使う必要があるので、基本的にはクリニックに受診するのをオススメします。
ただ、行きたくても忙しい人に、少しでもお得な情報をお伝えします。
まず、市販薬の咳止めだけで、なかなか効果出ない場合
●ハチミツ
ハチミツ10g/日で飲むことにより、咳止めと同等の効果がある報告があります。(9)
(※ただし、1歳以下の子供にははちみつは厳禁です。)
ハチミツが苦手でなければ使ってみましょう!
(9)Upper Respiratory Tract Infection-Associated Acute Cough and the Urge to Cough: New Insights for Clinical PracticeVitalia Murgia et al. Pediatr Allergy Immunol Pulmonol. 2020 Mar.
●漢方薬
漢方は薬局でも手に入れることができます。どうしてもクリニックで薬を貰いにいく時間がない人は検討してみてください。
・麦門冬湯(ばくもんとうとう)
感染後咳嗽などに使います。痰がない咳、もしくは痰が切れそうで切れない、そのせいで咳をする場合などに使います。
少し潤いをがでる漢方なので、飴など舐めて潤うと咳が軽減する人などにおすすめです。
・辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
先ほど説明した、後鼻漏のように鼻水と痰の量が多い人にむいています。
もともと鼻水、鼻詰まり、蓄膿症などになりやすい人にむいています。
最後に
ここまで紹介した疾患は、一般的な風邪薬で改善が難しいことがあります。専門的な治療が必要となる場合があります。
鑑別が多いので、総合内科や耳鼻咽喉科や呼吸器内科の受診をお勧めします。
咳が止まらないと辛いですよね、今回の記事があなたの健康への第一歩となることを願っています。もし心配な症状があれば、遠慮なく医師に相談してください。あなたの健康は、何よりも大切なものです。
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