あなたはこれまで
- 困った症状があるけど、検査したら問題ありませんとしか言われない・・・
- 検査で異常があって、医者になんか言われるけど、困った症状ないから放置していいや♪
こんな経験ありませんか。
それは「未病」かもしれません。
「未病」という言葉はあまり聞きなれないかもしれません。
でも、実は医療現場では「未病」の患者様が多く放置されています。
今回の記事では「未病」について詳しく解説していきます。
目次
未病の定義と重要性について
未病とは何か?
未病(みびょう)とは、健康と病気の間にある状態を指します。
具体的には、
①自覚症状があるが検査では異常が見られない状態
②自覚症状はないが検査で異常が見られる状態
これらの状態をさします。
(日本未病学会より引用 https://www.j-mibyou.or.jp/mibyotowa.htm#mibyonohi)
①について例をあげると
胃カメラ、大腸カメラ問題ありません。でも胃の調子が悪い、食欲でないなどのケースです。
身体的疲れ、精神的な疲れなどが影響して食べれない場合があります。
②について例をあげると
脂肪肝とかのケースです。
健康診断で肝臓の数値が高い、脂肪肝と言われるがなにも症状ない。
このようなケースでは日々の診療でたくさんいます。
なぜ未病が現代社会で重要なのか?
未病の状態が悪化すれば病気となります。
ストレスに伴う食欲不振も、
ストレスを放置しておけば「うつ病」
食べれないのを放っておけば「栄養失調」
脂肪肝も放っておけば「肝炎、肝硬変」
と進行します。
本当の病気になってしまいます。
厚生労働省のデータによると、日本の平均寿命は男性81歳、女性87歳ですが、
健康寿命はそれぞれ72歳と75歳であり、約10年の差があります。
これは
- 未病が原因で調子が悪いから健康的な生活がおくれていない
- 未病を放置したため、実際の病気となってしまう
などが原因となります。
日常の診療で患者さんとお話ししていると皆さんが言うのが
- 「動けなくなってまで生きたくない」
- 「子供達に迷惑かけたくない」
このように言われる方が多いです。
そのため、健康寿命を伸ばすことが大切です。
この健康寿命を伸ばすためには未病の状態を見つけ、いち早く対処しておくことが大切です。
西洋医学と東洋医学
ここで、現在の医療について少しお話します。
医学には大きく分けて、「西洋医学」と「東洋医学」があります。
西洋医学は普段もらっている風邪薬や痛み止め、手術などよく病院でうけるやつです。
東洋医学とは漢方薬や針灸などです。
現在は医学の研究が盛んに行われ、
臨床研究が進んでいます。
そのため、現代医学では
エビデンス(臨床実験の結果)が重要視されています。
そのため、西洋医学がスタンダードになっています。
しかし、未病に対応していくには西洋医学と東洋医学の両方の力が必要です。
現在、この試みは普及していて、統合医療と言われています。
統合医療とは近代西洋医学と相補(補完)・代替療法や伝統医学等とを組み合わせて行う療法であり、多種多様なものが存在します。
(厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』引用)
つまり、西洋医学と東洋医学の良いところを使っていこうという考え方です。
とりわけ、未病の状態ではこの考え方が重要です。
では、実際に未病に対してどういうアプローチが良いのか紹介していきます。
どうやって未病を見つけるのか
定期的な検査
代表的なのが健康診断です。
健康診断で血圧、コレステロール、肝臓の数値が高い場合は
症状がないとしても病院にいきましょう。
これらを放置しておくと病気となっていきます。
特に早い段階から対応していけば薬を飲まずに
生活改善でよくできる可能性があります。
症状に合わせて検査
まずは診察・検査を受けましょう。
健康診断や人間ドックなどの血液検査や画像検査です。
しかし、症状があるにもかかわらず、
検査結果が正常である状態はよく見られます。
例えば、
- 食欲不振
- 慢性的な頭痛
- 動悸
- 不眠
- だるさ
などの症状です。
これらは未病である可能性が高いです。
未病を放置するリスク
実際の診療では
健康診断などで異常値がでて、
病院に来て、薬をすすめられるが
飲まない人や、
飲んでも自己中断してしまう人が多いです。
症状がないから、病気のイメージが湧かないんでしょう。
また、周りに病気の人が少ないとなかなか実感が湧きませんよね。
また、検査異常がないけど、症状で困っている人達はどうでしょう。
この人達は、どうにかしてほしいけど、
逆に西洋医学的に病気がないので、
- 「様子をみてください」
- 「他の科に行ってください」
このように対応されることが多くて困ってるんじゃないでしょうか。
どちらも放置しておくのは良くありません。
未病を放置すると、症状が悪化し、最終的には重大な病気に進行するリスクがあります。
例えば、
慢性的なストレスや不眠が続くと、心臓病や糖尿病、不整脈などのリスクが高まります。
また、ストレスが悪化すると本当にうつ病になってしまうリスクが高まります。
他にも、健康診断で肥満や脂質異常症と言われ、放置しておくと本当に
心筋梗塞や脳梗塞になってしまいます。
最近の研究で、肥満と大腸癌には相関関係があり、
肥満である人ほど、大腸癌のリスクが高い
などの報告もあります。
Pedram Paragomi et al Body Mass Index and Risk of Colorectal Cancer Incidence and Mortality in Asia JAMA Netw Open. 2024;7(8):e2429494.
早期発見と予防の重要性
未病の段階での早期発見と予防は、健康を維持するために非常に重要です。
軽いストレスによる症状であれば、
通常の内科外来で対応できます。
しかし、「うつ病」などになると、心療内科や精神科を
受診しなければならないケースに発展します
また、脂質異常症などで薬飲みたくないなー
という気持ちはわかりますが、
放置してしまうと、本当に心筋梗塞などになります。
脂質異常症の時であれば少し薬飲むだけだったり、良くなればやめることもできますが
心筋梗塞になると一生飲み続けなければならない薬がたくさんでてきます。
未病に対する治療
未病に対する対応として大きく分けると
・生活習慣の改善
・漢方薬
この2つが中心となっていきます。
生活習慣の改善は
「自覚症状はないが検査で異常が見られる状態を含む」人に特に有効です。
漢方薬は
「自覚症状があるが検査では異常が見られない状態」の人に特に有効です。
では、それぞれ見ていきましょう。
生活習慣の改善
健康な体を作るには生活習慣はとても大切です。
ここでは
- 食事
- 運動
- ストレス管理
- 睡眠
の重要性について紹介します。
食事:
バランスの取れた食事をしましょう。
〇塩分
塩分を抑えることが最も効果的な血圧に対する対応です。
(個人的には最も難しいと感じています・・・)
そのため、塩分を控えることで、
生活習慣病のリスクを大幅に減らすことができます。
塩分摂取量の目標は男性で1日7.5g、女性で6.5gです。コントロール不良の高血圧がある場合は1日6g未満です。
(日本人の食事摂取基準2020年版)
平均摂取量は男性で11g、女性で9gとなっていて、かなり摂取量が多いです。
〇脂質
脂っこいものばかり食べると脂質異常症になります。
脂質を下げるために効果的な食事は以下のとおりです。
- 野菜
- 果物
- 青魚
- 大豆
逆に以下の食事はなるべく減らしましょう。
- 脂身
- 脂質の高いもの
また、肥満がある人は
「肥満は万病の元」になりますので、
減量をしましょう。
減量についてはこちらを参考にしてください。
運動:
週に合計180分以上運動できるといいですね。
まずは続けやすいもので大丈夫です。
ストレス管理:
ストレスも万病の元です。
ストレスがたまると
- 「うつ病」
- 「不安神経症」
- 「不眠症」
を発症したり
お腹に影響がでる
- 「逆流性食道炎」
- 「機能性ディスペプシア」
- 「過敏性腸症候群」
を発症したり
その他、心筋梗塞などにも影響があると言われています。
そのため、ストレスケアは大切です。
ストレスケアには
- 運動
- 瞑想
- 認知行動療法
などがあります。
認知行動療法についてはこちらの記事で詳しく
説明していますので、よかったら
参考にしてください。
睡眠:
不眠も万病の元です。
不眠症が
- 「心房細動」
- 「心筋梗塞」
- 「高血圧」
などのリスクになるという報告があります。
Xuejiao Zhang et al. Associations between insomnia and cardiovascular diseases: a meta-review and meta-analysis of observational and Mendelian randomization studies. J Clin Sleep Med. 2024.
日本人は頑張る民族なので、睡眠を削って頑張る人が多いですが、しっかり睡眠をとりましょう。
6〜8時間はとれるといいですね。
不眠がちという方は、こちらを参考にしてください。
漢方薬
漢方薬とは
西洋医学では、検査に異常がないので、有効な治療はありません。
現在は医学の研究が盛んに行われ、
臨床研究が進んでいます。
そのため、現代医学では
エビデンス(実験の結果)が重要視されています。
そのため、西洋医学がスタンダードになっています。
しかし、西洋医学にも弱点があります。
それが「西洋医学の検査で病気と診断されないもの」です。
西洋医学の治療は病気でないと効果がありません。
一方、日本人の体質に合わせて進化してきた漢方は
西洋医学で病気と診断されない
症状に対して効果的です。
僕も総合内科医として、エビデンスを最重要として
医療を行ってきました。
総合内科は難しい病気を持った患者様が集まるため、
他の病院では問題ないと言われているけど
実は病気という人がいます。
その反面、病気と診断されないが困っている「未病」の人を
たくさんみてきました。
漢方に出会うまではそういう人に、
- 「我慢するしかない」
- 「病気じゃないから安心してください」と
やれることがなく歯痒い思いをしてきました。
漢方に出会い、漢方治療によって
辛い症状がなくなっていく患者をみて、
「これだ!」と思いました。
そのため、困っているけど
我慢するしかないと思っている人に
漢方を試していただきたいと
考えています。
漢方薬は効果あるのか
漢方医学では、
人の体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の
3つの要素で
構成されていると考えられています。
これらのバランスが崩れると、
体に不調が生じるとされています。
この崩れた状態を「未病」ととらえます
この未病に対して、様々な状態を考慮して
漢方を決めていきます。
漢方薬について詳しくはこちらで解説していますので、
参考にしてみてください。
まとめ
未病は、健康と病気の間に位置する状態であり、
ストレスの多い現代社会において非常に重要な概念です。
未病の段階で適切な対策を講じることで、
病気の予防や健康維持が可能となります。
未病とは
①自覚症状があるが検査では異常が見られない状態
②自覚症状はないが検査で異常が見られる状態
この2つになります。
西洋医学で検査をうけ、必要な場合は生活改善をしましょう。
検査を受けたけど、異常ないが困っている場合は
生活改善+東洋医学
を検討しましょう。
この記事を通じて、
未病の重要性について認識していただき、
日常生活における健康管理の視野を広げていただけると幸いです。
まずは健康診断を受けましょう。
症状のある人は病院で相談しましょう。
そして、もう一歩進んで、「未病」という概念に対して対策を講じていきましょう。
コメント