大人もかかる手足口病:医師が症状・治療法・予防策を徹底解説

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はじめに

ある日突然「口の中にぶつぶつができる」、「手や足にぶつぶつがでる」こんな症状があるとびっくりしますよね。

手足口病は一般的に子どもの病気として知られていますが、実は大人も感染することがあります。特に免疫力が低下している場合や、自分のお子さんが感染している場合や子供と接触の多い職業の方では多いです。

2024年は手足口病が例年より早く、多く流行しています。

この記事では、大人の手足口病について詳しく解説し、その症状や予防法、治療法について紹介します。

ぜひこの記事を読んで、対策していきましょう。

手足口病とは

基本情報

手足口病は、手のひら、足の裏、口の中に水疱性の発疹が現れる急性ウイルス感染症です。主に5歳以下の子どもに多く見られますが、大人も感染することがあります。

原因となるウイルスは、主に以下のものです。

コクサッキーウイルスA6、A16、A10

エンテロウイルス71(EV71)

などです。

基本的に夏に流行する疾患です。

これらのウイルスは、夏季に流行することが多く、特に6月から8月にかけて感染が広がりやすいです。

感染経路

通常の風邪と比較して、感染経路が多いため、流行しやすいです。

手足口病の感染経路は主に3つあります

飛沫感染

感染者の咳やくしゃみによって飛び散ったウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染します。近距離での会話やくしゃみ、咳が原因となります。

マスクをすることによって感染リスクを減らします。

接触感染

感染者が触れた物(ドアノブ、手すり、タオルなど)に付着したウイルスが手を介して口や鼻、目に入ることで感染します。特に、手洗いが不十分な場合にリスクが高まります。

手指消毒、手洗いを徹底しましょう。

糞口感染

感染者の便に含まれるウイルスが手を介して口に入ることで感染します。おむつ交換後の手洗いが不十分な場合や、便に触れた手で食事をすることで感染することがあります。

小さいお子様が感染したときには注意しましょう

これらの感染経路を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。特に、手洗いや消毒を徹底することで感染リスクを大幅に減らすことができます。

大人の手足口病

実は大人と手足口病にかかることがあります。

一般的には風邪症状に似ていますが、特有の症状もあります。

以下に紹介していきます。

初期症状

大人の手足口病の初期症状は、風邪症状ににています。

  • 倦怠感: 全身のだるさや疲労感を感じることが多いです。
  • 筋肉痛: 特に手足の筋肉に痛みを感じることがあります。
  • 悪寒: 体が寒く感じ、震えが止まらないことがあります。
  • 高熱: 38度以上の発熱が見られることが多く、場合によっては40度以上になることもあります。

進行症状

初期症状が現れた後、手足口病は次のような進行症状を引き起こします

  • 手足や口の中に水疱ができる: 手のひら、足の裏、口の中に小さな水疱が現れます。これらの水疱は痛みを伴うことが多いです。言葉の通り、手や足や口と広範囲にできるのが特徴です。
  • 口内炎: 口の中の水疱が破れると、痛みを伴う口内炎が発生します。これにより、食事や飲み物を摂るのが困難になることがあります。
  • 食欲不振: 口内炎や全身の不調により、食欲が低下することがあります。

重篤な合併症

基本的には重篤になることは少ないですが、稀に重篤な合併症を引き起こします。

以下にいくつか紹介します。

  • 髄膜炎: ウイルスが脳に栄養を与える髄液に感染すると、髄膜炎を引き起こすことがあります。これにより、激しい頭痛や発熱、首の硬直などの症状が現れます。入院での治療が必要になります。
  • 心筋炎: ウイルスが心筋に感染すると、心筋炎を引き起こすことがあります。これにより、胸痛や息切れ、心拍数の異常、不整脈などの症状が現れます。心臓の動きが悪くなり、血圧低下などを生じるので緊急で治療が必要です。

手足口病の診断と治療

診断方法

手足口病の診断は、特別な検査はなく。主に臨床症状と病歴に基づいて行われます。

  • 病歴の聴取: 最近の感染症の流行状況や、職業、子供との接触があるかどうかを確認しましょう。
  • 症状の確認: 手のひら、足の裏、口の中に水疱性の発疹があるかどうかを確認します。また、発熱や倦怠感などの全身症状もチェックします。

手のひらに発疹が出る病気は少ないので、重要です。

治療法

基本的には風邪と同じウイルス感染であるため、対処療法が基本となります。

自然治癒

手足口病は通常、1週間から10日程度で自然に治癒します。特別な治療を行わなくても、症状は徐々に改善します。

漢方などによる治癒力を高める治療も効果的です。

寒気が強い場合は「麻黄湯」

寒気と熱感が強い場合は「桂枝湯」

などが有効です。

薬物療法

基本的に咽頭痛、咳、痰、鼻水、発熱などに対処療法の薬を出します。

症状が軽い場合は市販薬でも対応できます。

自宅でのケア

自宅でのケアも重要です。以下の方法で症状を和らげることができます

  • 水分補給: 脱水症状を防ぐために、こまめに水分を摂取することが重要です。特に、口内炎がある場合は、冷たい飲み物や氷を口に含むと痛みが和らぎます。子供や高齢者は喉の渇きに鈍感なので積極的に促していきましょう。
  • 休養: 十分な休養を取ることで、体力を回復させ、免疫力を高めます。自己治癒が中心なので、無理をせず、安静に過ごすことが大切です。
  • 口内炎の対処法: 口内炎が痛む場合は、柔らかい食べ物や冷たい食べ物を摂ると良いでしょう。刺激物には注意しましょう。

手足口病の予防方法

日常生活での予防

特別な薬がないので、重要なのは感染しないことです。具体的な予防法を紹介しますので、しっかり予防しましょう。

手足口病の予防には、日常生活での基本的な衛生管理が重要です

こまめな手洗い

帰宅後、食事前、トイレの後には必ず石鹸と流水で手を洗いましょう。特に、外出先から戻ったときや、公共の場所を利用した後は徹底することが大切です。

石鹸をつけるだけでは不十分になりますので、30秒かけてしっかりと水で流しましょう。

また、指と指の間、親指の付け根などは不十分になりやすいのでしっかりと手洗いしましょう。

消毒

ドアノブや手すり、リモコンなど、手がよく触れる場所を定期的に消毒します。市販のアルコール消毒液や家庭用の漂白剤を適切に希釈して使用すると効果的です。こちらもこまめにやる事がポイントです。

携帯電話なども汚いのでしっかり拭きましょう。

食器やタオルの共用を避ける

家族間でも、コップやタオル、食器などの共有を避けましょう。

特に口に触れる物は個別に使用し、ウイルスの拡散を防ぐ工夫が必要です。

感染している時は特に気をつけましょう。

しっかり予防するためには食事は別々に摂りましょう。

体調管理

体調が悪いと感じた場合は、無理をせずに休むことが大切です。感染拡大を防ぐためにも、体調不良時には出勤を控えるようにしましょう。

手足口病に関するよくある質問

Q1: 手足口病はどのくらいの期間続くのか?

手足口病の症状は通常、発熱などは3日程度で治ります。皮疹に関しては1週間程度残ります。

ウイルスは症状が治った後もウイルスを排出する傾向にあります。

喉からの検出は4週間未満、便からは6週間(場合によってはもっと)と言われています。

Q2: 大人が感染した場合の出勤停止は必要か?

手足口病はインフルエンザやコロナ感染のように法律上の出勤停止の義務はありません。

しかし、発熱や発疹の痛みがある場合は、無理をせずに休みましょう。

Q3: 手足口病はどのようにして感染するのか?

手足口病は、飛沫感染、接触感染、糞口感染の3つの経路で感染します。

詳しくは2章を参照ください。

Q4: 手足口病の予防方法は?

予防には、こまめな手洗い、手指消毒、食器やタオルの共用を避けることが重要です。

詳しくは5章を参照ください。

Q5: 手足口病の治療法は?

手足口病には特効薬がないため、治療は主に対症療法となります。

解熱剤や鎮痛剤を使用し、十分な水分補給と休養を取ることが重要です。

通常、1週間から長くとも10日程度で自然に治癒します。

まとめ

手足口病は子どもの病気と思われがちですが、大人も感染するリスクがあります。特に、免疫力が低下している場合や、子どもと密接に接触する機会が多い場合には注意が必要です。

大人が感染すると、症状が重くなることもあり、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。

手足口病は多数の感染経路があるため、しっかりとした予防が必要です。

そのため日常生活での基本的な衛生管理が非常に重要です。

こまめな手洗いや消毒、食器やタオルの共用を避けること、家庭内や職場での適切な対策を講じることで、感染リスクを大幅に減らすことができます。

手足口病と名前は聞くけど、初めてみると心配になりますよね。

この記事が少しでも役に立てば幸いです。

もしかして・・・と思った方は近くのクリニックに相談しましょう。

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