地球温暖化の影響で、どんどん暑くなっていきます。それに比例して熱中症患者はとても多くなってきました。
そこで今回は
- 毎年熱中症にかかるけどどうにかしたい
- 熱中症の治療って何するの?
- 熱中症に漢方は効果あるの?
こんな疑問にお答えします。
ぜひ最後までお読みください。
イントロダクション
・熱中症の現状となぜ今、この話題が重要なのか
地球温暖化の影響はますます加速しており、年々熱中症患者は増えています。
特にコンクリートが増えることにより、夜になっても熱がこもるような状態が続いているため、夜間も熱中症に注意が必要です。
熱中症は、適切な対策を講じないと命に関わる深刻な健康問題です。2022年には全国で5万人が熱中症で救急搬送され、そのうち1000人以上が命を落としました。
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/necchusho22/dl/kenbetsu.pdf)
特に高齢者や子供、持病を持つ人々はリスクが高く、社会全体での予防意識の向上が求められています。
涼しい環境や水分補給を促しても、野外での仕事をする人たちは涼しい環境を作るのが難しいためにどうしても熱中症になってしまいます。
熱中症とは
・熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能に異常をきたすこと、体内の水分バランスに異常が起こることです。
単純に脱水(水分不足)だけではないので、水分を大量にとっているだけでは防ぐことはできません。
これは屋外だけでなく、室内でも発生しますのでエアコンをつけないご高齢の人たちは注意です。
また、命に関わる場合もあるので注意が必要です。
・熱中症の分類
分類の仕方は、「症状から考える分類」と「重症度からわける分類」とがあります。
救急外来などでは重症度からわける分類を主に使用しています。
・症状から考える分類
- 熱失神: 高温環境により、皮膚血管が拡張します。そのため、急に立ち上がったりした際に、皮膚血管の拡張と下肢への血液貯留により脳への血流が減少し、めまいや失神が起こります。
- 熱けいれん: 大量の汗をかいて塩分が失われた状態で、水分(特に塩分の少ない水)を補給することで、血液中の塩分濃度が低下し、痛みを伴う筋肉のけいれんが発生します。
- 熱疲労: 発汗による脱水と皮膚血管の拡張が原因で、循環不全に陥った状態です。脱力感、倦怠感、吐き気、頭痛などの症状が見られます。
- 熱射病: 体温が40度以上に上昇し、脳の機能に異常が出たり、体温調節機能が働かなくなったりする状態です。全身のけいれんやふらつき、意識障害などが見られ、迅速な医療対応が必要です。
熱疲労、熱射病は病院での診察が必要です!
・重症度からの分類
- Ⅰ度:意識障害は認めないが、ふらつき、発汗、立ちくらみ、筋肉痛などを認めます。熱失神や、熱痙攣はⅠ度にあたります。
- Ⅱ度:意識レベルはやや低下、頭痛、嘔吐、倦怠感が強いです。医療機関での診察が必要です。熱疲労はⅡ度にあたります。
- Ⅲ度:意識障害が強い・けいれんする、入院が必要な肝障害・腎障害がある、血液凝固異常を、認める。これらのうち一つでもあればⅢ度になります。
・熱中症の症状と初期兆候
初期症状:
- 大量の発汗: 体温を下げようとするために大量の汗をかきます。
- めまい: 血圧や血流の変化により、めまいやぼーっとする感覚が生じます。
- こむら返り: 足がつる、手足の筋肉痛のような痛みが現れます。
- 体のだるさ: 脱力感や倦怠感が強くなります。
中等症:
- 失神: 意識を失うことがあります。立ちくらみ程度であれば良いですが、完全に失神する場合は危険です。
- 頭痛: 脱水や体温上昇により頭痛が発生します。
- 吐き気・嘔吐: 消化器系に影響が及び、吐き気や嘔吐が見られます。
重症:
- 意識障害: 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとするなどの症状が現れます。
- 痙攣: 体や手足が震える、けいれんが起こります。
- 高体温: 体温が40度以上に達し、命に関わる状態になります。
これらの症状が現れた場合は、すぐに涼しい場所に移動し、体を冷やしながら水分と塩分を補給することが重要です。特に中等症・重症の場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
熱中症の統計データ
・日本での熱中症の発生率
日本では、毎年多くの人が熱中症で救急搬送されています。2023年の夏には、全国で約5万人が熱中症で救急搬送され、そのうち1,000人以上が命を落としました。
特に高齢者や子供、持病を持つ人々がリスクの高いグループとされています。総務省消防庁のデータによると、2024年6月24日~6月30日までの全国の熱中症による救急搬送人員は、2,276人でした。
(https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html)
・熱中症による健康への影響
熱中症は、体温調節機能がうまく働かなくなることで発生し、さまざまな健康問題を引き起こします。
治療をすることで、多くは回復していきますが、一部後遺症として残る場合もあります。
以下に紹介します。
脳への影響:
高体温により脳の機能が低下し、意識障害やけいれんが発生することがあります。
脳が浮腫むこともあるため、脳卒中などのリスクに関与する場合があります。
循環器系への影響:
血液の流れが悪くなり、心臓に負担がかかります。
血圧の低下やショック状態に陥ることがあります。
長期的にみると心筋梗塞のリスクが高くなる場合があります。
腎臓への影響:
脱水状態が続くと、腎臓の機能が低下し、急性腎不全を引き起こすことがあります。
慢性腎不全になるリスクも報告されています。
筋肉への影響:
筋肉がこむら返りを起こしやすくなります。
重度の場合、筋肉組織が破壊されることがあります
横紋筋融解症といって、大量の筋組織が壊れます。腎機能障害につながるため、適切な治療が必要です。
消化器系への影響:
吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。
消化器系の機能が低下し、食欲不振や下痢を引き起こすことがあります。
これらの影響は、適切な対策を講じないと深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
特に高齢者や子供、持病を持つ人々は、熱中症のリスクが高いため、予防策を徹底することが重要です。
熱中症の原因とリスクファクター
・高温多湿の環境の影響
熱中症の発症リスクが高いものについて紹介します。
- 高温:気温が高いと、体温が上昇しやすくなります。特に気温が30℃を超えると、熱中症のリスクが急激に高まります。
- 高湿度:湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、体温を下げることが難しくなります。湿度が70%を超えると、熱中症のリスクが増加します。
- 強い日差し:直射日光を浴びることで、体温がさらに上昇します。特に日中のピーク時(午前10時から午後3時)は注意が必要です。
- 風の弱さ:風が弱いと、汗が蒸発しにくくなり、体温が下がりにくくなります。風通しの悪い場所では、熱中症のリスクが高まります。
意外と注意なのが暑くなりはじめの梅雨です。
体は暑さに慣れていないため、急激な温度上昇を認めた場合に熱中症を引き起こしやすいです。
外で作業する人は特に注意しましょう。
・個人のリスクファクター
熱中症の発症の重要なリスク要因には、
- 年齢
- 妊娠
- 肥満
- 体調不良
- 環境への順応不足
- エアコン不足
- 社会的孤立
- 糖尿病
- 心血管疾患
- 多量のアルコール摂取
- 薬剤
などもリスクになります。
リスクがある人は特に注意しましょう!
熱中症の治療
・熱中症の対処療法
・一般的な治療
基本的には涼しいところで休む、水分補給をすることが重要です。
水分だけでは塩分不足になります。
1番いいのは経口補水液OS1です。点滴と近い成分であり、水分吸収しやすく、電解質もととのえてくれます。
注意が必要なのはポカリスエットなどのスポーツドリンクは飲みすぎると血糖が上昇しすぎるので注意が必要です。特に糖尿病の人は注意しましょう。
糖尿がある人は水分と塩分を別にとりましょう。
中等症〜重症となれば点滴などの対処療法になります。
自宅でもできる簡単な方法としては
霧吹きなどのスプレーをして、濡らしてから送風するような方法もあります!
・熱中症の漢方
漢方は、これらの予防策と並行して、熱中症のリスクを減らすための自然療法として活用されてきました。体を冷やす効果がある生薬や、体内の水分を調整してくれる効果のある生薬が、熱中症の予防や症状の緩和に役立つとされています。
これらの漢方は、現代医学における熱中症対策と併用することで、より効果的な予防と治療が期待できるのです。
いくつかの漢方を、紹介します。
・五苓散(ごれいさん)
体内の水分調整を行う漢方です。
熱中症に伴う脱水などに有効です。
また、熱中症対策に大量に水を飲んでも、暑さの影響で血液にうまく水が増えず、お腹などに水が周り、お腹を壊す、下痢を、認めるケースがあります。
そのような対応にも有効です。
熱中症の予防、軽い熱中症症状、夏バテ症状に有効です。
・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
まさに熱をとる漢方です。
体内に熱がこもり、口が乾いている状態に有効です。
熱中症がまさに起こってる時に使います。
・清暑益気湯(せいしょえっきとう)
夏バテに有名な漢方です。
イメージとしては上の2つの中間にあたるような漢方です。
少し熱を抑えるのと、少し水分調整をしてくれます。
熱中症をおこした後に残る、
熱っぽい感じ、だるさ、食欲がでない
いわゆる熱中症の後遺症に使います。
以上が簡単ではありますが漢方の紹介です。
さいごに
いかがだったでしょうか。
今年の夏も例年以上に暑くなることが予想されます。
室温の調整、水分補給、漢方による予防・治療を行い暑い夏を乗り越えましょう!
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