はじめに
◯記事の目的
2024年4月からコロナワクチンは任意接種に変わりました。
打つか打たないか迷っている人は多いと思います。
ワクチンの効果、ワクチンの副作用をしっかり理解し、ワクチンに対する正しい知識を身につけて、摂取するか摂取しないか決めましょう。
◯コロナウイルスとその影響
新型コロナウイルスは2019年末から始まった感染症で世界中に感染が広がりました。
COVID-19の感染は、肺炎を引き起こすことがあり、特に高齢者や基礎疾患を持つ人々にとって重大なリスクをもたらします。
また、通常の感染症とは異なり、後遺症を起こす可能性があり、問題となりました。
◯ワクチンの開発と承認の過程
新型コロナウイルス感染症のワクチンは通常のワクチン開発に比べて、緊急性を考慮して記録的な速さでワクチンが開発されました。
ワクチンの開発には「基礎研究」、「非臨床研究」、「臨床試験」
の3つを通して認証されます。
そのため、ワクチンは基本的に安全性と有効性があります。
日本ではファイザーやモデルナのワクチンが使用されてきました。
ワクチンの科学
◯ワクチンがコロナウイルスに対抗する仕組み
そもそもワクチンとはなんでしょう。
ワクチンとは感染を予防したり、感染しても重症化を抑えてくれるものです。
体には免疫システムといって、バイ菌やウイルスと戦ってくれるシステムがあります。
一度体内に侵入した敵に対して抗体を作り、体を守ろうとします。
この抗体を意図的に作るのがワクチンです。
◯ワクチンの違い
従来、ワクチンは「生ワクチン」「不活化ワクチン」
とありました。
生ワクチンは簡単に言うと、ウイルスを直接注入するイメージです。主に麻疹(はしか)、風疹、水痘(水ぼうそう)に使われます。
ウイルスを直接注入すると聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、弱毒化していますので安全です。
不活化ワクチンは簡単にいうと、ウイルスの一部を体内に入れることです。インフルエンザワクチン、4種混合ワクチンなどに使われます。
こちらも基本的に安全です。
では、今コロナワクチンに使われているmRNAワクチン(メッセンジャーRNA)とはなんでしょう。
こちらはいわゆるウイルスの遺伝子情報を打ち込むことです。ウイルス自体ではなくウイルスを作る元を送り込み、そこから免疫システムが反応して、同じ遺伝子が侵入してきたら戦うシステムとなっています。
mRNAは素早く開発できるという利点があり、今回のコロナ騒動で活躍しました。
◯ワクチンの安全性
ワクチンは安全です。
ワクチンに対するアレルギー反応100万回の接種で5件程度となっています。
ほとんどはもともとアレルギーの既往がある方です。
参考データですが、2020年のデータだと、
日本で交通事故にあう確率は500人に1人程度です。死亡者は10万人に2人です。
交通事故の確率の方が高いです。
参考: https://chokottokyosai.jp/column12/#:~:text=日本国内で1年間,者となっています%E3%80%82
ワクチン接種のメリット
◯重症化予防と感染拡大の抑制
ワクチン接種することにより、入院や死亡の大幅な減少を認めています。
報告では、ワクチンを打った人と打たなかった人を比べると、打たなかった人の死亡率は7.3〜16.3倍高くなったという報告があります。
Amelia G Johnson et al. Notes from the Field: Comparison of COVID-19 Mortality Rates Among Adults Aged ≥65 Years Who Were Unvaccinated and Those Who Received a Bivalent Booster Dose Within the Preceding 6 Months – 20 U.S. Jurisdictions, September 18, 2022-April 1, 2023 MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023.
そのため、ワクチンは感染を予防する意味合いよりも、重症化させないために打つ気持ちで打ちましょう。
現在、販売されている軽症用のコロナウイルス薬よりも、ワクチン接種の方が重症化を抑える効果があります。
◯後遺症リスクの低下
コロナの後遺症は感染を重ねることでリスクが高くなるという報告もあります。
しかし、コロナワクチンを打つことで後遺症のリスクを軽減する効果が期待されています。
30〜50%程リスクを軽減することが期待されていて、若い方に効果が高い傾向にあります。
Martí Català et al. The effectiveness of COVID-19 vaccines to prevent long COVID symptoms: staggered cohort study of data from the UK, Spain, and Estonia. Lancet Respir Med. 2024 Mar.
◯ワクチン接種後の免疫反応と長期的な効果
ワクチン接種が普及していくと、ワクチン接種を受けた人が感染する可能性が低くなるため、ワクチン接種を受けれない人も含め、全体的な感染リスクが低下します。
そのため、特にアナフィラキシーなどの接種不可でない人は接種を検討しましょう。
ワクチン接種をためらう理由
◯ワクチンに対する一般的な誤解とその反論
ワクチンは怖いというイメージもありますが、実際は違います。
先ほども説明したように、重篤な副作用は稀です。
副作用がでたとしてもほとんどが日常生活に影響が出ない程度の副作用です。
軽症な副作用のなかで10〜20%程度で学校や仕事を休むほどの副作用を認める患者がいます。
◯副反応に関する懸念とその対処法
一般的な副作用は注射部位での反応で、主に痛みのほか、発赤、腫れ、掻痒などがある。
その他に、疲労感、頭痛、筋肉痛、発熱、悪寒、関節痛などがあります。
基本的に自然と改善していきますが、痛み止めなどを飲んで対応しましょう。
◯重篤な副作用
基本的に安全ですが、一部重篤な副作用の報告もあります。
・心筋炎
若い人で報告があります。
心臓の筋肉に炎症が出る病気です。
胸痛や息切れなどを認めます。
100万回接種して、50〜100件程度です。
・血栓症、血小板減少
こちらも稀ではありますが、100万回接種して、5件程度です。
・ギランバレー症候群
こちらは末梢神経障害を起こす病気です。
一般的には感染などの後に、自己免疫が末梢神経を攻撃してしまう病気です。
足の痺れ、麻痺、進行すると息苦しくなります。
こちらも稀な報告です。
個人の選択
◯個々の状況の考慮
ここまでお話しした通り、ワクチン接種は有効であり、危険性は極めて低いです。
それでも迷う方はいると思います。
今回はそれでもなるべく打った方が良い方を紹介します。
基礎疾患があるとコロナが増悪しやすいです。
以下の人はなるべく接種を考えましょう。
- 心臓病(心筋梗塞、狭心症など)
- 肺疾患(間質性肺炎、COPD)
- 高齢者
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満(BMI30以上)
- 腎臓病
- がん患者
◯他者への影響と社会的責任
ワクチン接種は個人の健康を守るだけでなく、社会全体の安全を確保するためにも重要です。集団免疫の概念は、十分な数の人々が免疫を持つことで、感染症の拡大を抑えるというものです。これにより、ワクチンを受けることができない人々(免疫不全の人々や特定のアレルギーを持つ人々など)も保護されます。したがって、ワクチン接種は、自分自身だけでなく、周囲の人々への配慮としても考えられます。
◯接種を決めた人々の体験談
実際に患者さんでも、2回目のワクチンで副作用(アナフィラキシーなどの重篤ではない)が強くでたため、心配していた患者様も多くいます。
ただ、意外とやってみたら問題なく、その後何度もワクチンをやっている人はたくさんいます。
周りに相談する人がいなければ、厚生労働省がやっているコロナ相談窓口もあります
また、かかりつけがある人はかかりつけ医に相談しましょう。
さいごに
いかがだったでしょうか。
なかなか悩む方も多いとは思います。
重篤な副作用は怖いですが、データからみると実は珍しいです。
コロナに感染する可能性はこれからも続きます。
実際に、ワクチンを受けていない人は症状が強い人が多いです。
ぜひワクチンを検討しましょう!
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