皆さんは皮膚が発しているSOSに気づけていますか?
私たちの肌は、私たちの健康について多くを語っています。
「熱が高いし、ボツボツも出てきた」
「痒みだけでなく痛みもある」
このように、突然の発疹は、単なる一時的な不快感ではなく、体が送る重要なメッセージかもしれません。
この記事では、発疹の背後にある可能性のある病気について解説します。
もしかして…と思った方は病院で相談しましょう。
目次
発疹の種類と原因
発疹を起こす病気はさまざまな原因があります。
このセクションでは全身疾患、内科的な要素が高いものを紹介します。
薬による発疹
薬はどんな薬でも可能性があります。一般的には昔から飲み続けている薬より新しく始めた薬を疑います。
まずは発疹がでる2ヶ月前までさかのぼって始めた薬はないか(病院の薬〜サプリメントまで)を確認しましょう。
ただのアレルギーであればやめるだけでいいですが、なかには「重症薬疹」と呼ばれる病気があります。この場合は入院などの治療も必要になるので注意が必要です。
- 熱がでている
- 目ヤニが大量にでる
- 唇や口の中がただれる
などがあれば、「重症薬疹」を疑います、すぐに病院に行きましょう!
検査は薬剤アレルギーがあるかの検査をします。
治療は原因薬の中止と免疫抑制薬が中心です。
海外感染症
最近海外旅行などされている場合は海外で感染症にかかった場合があります。
海外感染症で有名なのは
- マラリア
- デング熱
- 腸チフス
- ウイルス性肝炎
などが有名です。
感染経路としては食べ物や水、虫刺されなどで起きます。
国によって起こりやすいものが変わります。
- 「いつからいつまで海外にいたのか」
- 「どの国にいったのか」
- 「何をしたか(観光とか、ジャングル探検とか)」
が重要になります。
ぜひ病院で相談しましょう。
検査は原因によってさまざまです。
また、治療も原因によって変わります。
性感染症
実は性感染症でも発疹が出ます。
避妊具を使わない性行為を行うすべての人にリスクがあります。
- 不特定多数の人との行為
- 職業的に行為を行う
- 同性愛者
- 避妊具を使わない
この辺に該当する人は高リスクとなります。
感染症の代表的なものは
- 梅毒
- HIV
- 肝炎
- 淋菌
などがあります。
いずれも放置しておくと重大な症状に進行していきますので早めに病院を受診しましょう。
検査は血液検査や尿検査などで行えます。
治療は抗生剤や抗ウイルス薬になります。
その他の感染症による発疹
感染症による発疹は、ウイルスや細菌、時には真菌や寄生虫が原因で発生することがあります。
細菌感染
全身の症状が強く、意識も朦朧としている場合は細菌感染などを強く疑い、早急に対応が必要です。
ここで、代表的なものとして溶連菌を紹介します。
溶連菌について
・溶連菌とは
溶連菌とは小児や成人の扁桃腺に感染する一般的な感染症です。
・症状
症状は高熱と咽頭痛が特徴です。
よくある疾患ですが、しっかり治療しないと扁桃周囲膿瘍と呼ばれる病気に悪化していきます。
扁桃周囲膿瘍が起きてしまうと、窒息に繋がるので、入院して膿を摘出する手術が必要になります。
そうなる前に早期発見、早期対応をしましょう。
・検査
検査は扁桃腺炎の場合は検査キットがあるのでわかります。
検査キットは絶対ではないので、検査が陰性でも症状から感染を疑えば治療することは多いです。
・治療
抗菌薬による治療となります。
抗菌薬は10日間しっかりと飲む必要があります。
症状は数日で改善を認めますが、抗生剤はしっかりと飲みきりましょう。
これは、後述するリウマチ熱こ合併を予防するためです。
・合併症
〇リウマチ熱
リウマチ熱は溶連菌感染後に起きる自己免疫性疾患と呼ばれるものです。
自己免疫性疾患とは自分の免疫が間違って自分を攻撃してしまう状態です。
関節痛、発熱、心臓の弁膜症などが起きます。
心臓にも影響が出ますので、しっかりと予防をしましょう。
〇溶連菌感染後糸球体腎炎
これは若い人に起きやすい病気です。
こちらも、溶連菌感染に伴う免疫反応によるものです。
感染して1ヶ月を目安に高血圧、足のむくみ、血尿、タンパク尿がを認めます。
重篤な腎機能障害につながるので、早期に検査して対応しましょう。
通常は咽頭痛、発熱で疑いますが、時に全身に発疹を起こすことがあります。
・その他溶連菌感染
〇猩紅熱
「猩紅熱(しょうこうねつ)」とよばれ
発熱やいちご舌とよばれる舌の変化が生じ、その後発疹がでます。
舌は白い苔みたいなのがでて、最後に赤いボツボツとイチゴのようになります。
一般的に発熱などの症状がでてから1〜2日程度で発疹が出現します。
〇伝染性膿痂疹(とびひ)
「伝染性膿痂疹(とびひ)」とよばれる皮膚の感染を起こすケースもあります。
夏に多く、虫刺されなどから感染するケースです。
アトピー性皮膚炎などのベースの皮膚が弱っている人に起きやすいです。
ウイルス感染
麻疹、水疱瘡、風疹、手足口病などは小児に見られる一般的なウイルス感染です。
大人でも免疫がなければ感染します。
予防接種歴を確認しましょう!
特に予防接種をやっていても、昭和54年〜平成7年の世代は麻疹・風疹混合ワクチンを2回受けられていないので、感染歴がなければ注意が必要です。
周囲の感染状況も確認しましょう。
保育園、学校などで同じような症状が流行っていれば注意が必要です。
診断は臨床所見と血液検査になります。
治療は基本的に対処療法です。
〇インフルエンザについて
インフルエンザも季節性で流行する一般的な感染症です。
皆さんもかかったことがある方はご存知だと思いますが、通常の風邪に比べ、発熱、筋肉痛、倦怠感が強く出ます。
特に冬に流行を認めます。
インフルエンザで発疹を認めるケースは稀ですが、報告はあります。
Danuta M Skowronski et al. Case series of rash associated with influenza B in school children . Influenza Other Respir Viruses. 2015 Jan.
自己免疫疾患と発疹
自己免疫疾患においては、体自身の免疫システムが誤って健康な細胞を攻撃し、発疹を引き起こすことがあります。
いわゆるリウマチなどの膠原病疾患が多いです。
膠原病関連は慢性的な経過が多いですが、中には急速に進行するものもあります。
全身に症状が出ることが多いです。
有名な発疹としては「蝶形紅斑」と呼ばれ、両側のほっぺの部分に発疹が出ます
検査は血液検査や画像検査です。
治療は免疫抑制剤が中心となります。
帯状疱疹
こちらは急性の感染というよりは、以前に感染して潜伏していた、水疱瘡・帯状疱疹ウイルスが暴れ始めることで生じます。
特徴は限局された痛みと発疹を認めることです。
基本的には体の左右にまたがってボツボツ(背中全体的)が出ることはありません。
稀に症状が軽くて、痒みを訴える方がいますが、基本はかなり痛いです。
初期は痛みだけでブツブツが出ない時もあるので注意が必要です。
治療には早期に抗ウイルス薬の投与が必要なので、速やかに受診してください。
帯状疱疹で問題になるのは痛みが残りやすいことです。神経の自己修復機能で改善するのを待つしかありません。
3ヶ月以内であれば改善する可能性が高いですが、3ヶ月以上経過して続くものは残る可能性が高いです。
なるべく痛みを残さないようにするには早期発見、早期治療、さらに重要なのはワクチン接種です。
現在CMでもやっているように帯状疱疹用のワクチンが作られています。
効果は高いですが、値段も高いです。
しかし、痛みが残ってしまうと、それを抑えるために毎日薬を飲んでいる人もいます。
ぜひ一度ワクチンについてご相談してみてください。
こちらのサイトも参考にしてみてください。
発疹の自己診断ガイド
ここまでは全身疾患に伴う発疹について解説しました。この章では一般的な皮膚の問題がメインである発疹について紹介します。
アレルギー性発疹(蕁麻疹)
アレルギー性発疹は、あなたの体が特定の物質に対して過敏に反応することで発生します。
代表的なものに蕁麻疹があります。
痒みと膨らんだ発疹が特徴です。
固定された場所でなく、色々な場所に出ては消えていきます。
逆に、同じ場所がひたすら痒くて、悪化していく場合は違う病気を考えます!
原因としては花粉、ペットの毛、特定の食品、または薬剤、紫外線などのストレスなどでも発症します。
検査は血液検査によるアレルギー検査を行います。
治療は抗ヒスタミン薬を中心に行っていきます。
アトピー性皮膚炎
激しい痒みを伴う発疹です。
子供の場合は顔、頭皮、四肢、胴体に多いです。
大きくなってくると首、脇、膝裏などの屈曲する部分に多いです。
顔や手首や腕など色々なところに出現します。
診断は皮膚所見から判断します。
治療の中心は免疫抑制剤の塗り薬となります。
・ステロイド軟膏
・タクロリムス
が中心となります。
その他補助薬として、
・抗ヒスタミン薬
痒みが強く、アレルギーの関与を疑う場合
・ヒルドイドローション
乾燥が強い場合に保湿剤を使います。
接触性皮膚炎
さまざまな因子の暴露により、局所的な炎症性皮膚炎です。
職業性皮膚炎の代表的なものであり、
- 食品取扱
- 医療従事者
- 機械産業
- 清掃関係
関連の人に多いです。
刺激物として化学的なものは
- 水まわりの仕事
- 洗剤溶剤
物理的刺激物のもは
- 金属工具
- 木材
- ガラス繊維
- 植物の一部
- 紙
- ほこり
- 土壌
などがあります
検査としてはパッチテストと呼ばれるものがあります。
パッチテストとは原因と考えられる成分を皮膚に付着させ、反応するかを確認します。 治療は原因の回避が中心です。その他ステロイド軟膏などを塗って炎症を落ち着かせます。
さいごに
皆さん、発疹は決して軽視すべきではありません。
病気のサインである可能性があります。
この記事が、あなたの健康を守るための一助となれば幸いです。
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