医師が解説!それはただの肺炎?知らないと危険、肺炎の種類とその対策

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「肺炎って言われてから背中が痛い」、「肺炎と言われたけどよくならない?」

こんなことありませんか?

肺炎は日常に多く潜む病気ですが、実は原因が様々あります。

原因によって、予防や対策は変わります。また、原因によって症状も変わります。

この記事を通じて、肺炎の知識を深め、予防と対策のための行動を起こしましょう。

肺炎の基礎知識

肺炎は、私たちの呼吸を担っている肺に炎症が起こる病気です。この病気は、細菌、ウイルス、カビ、自己免疫、化学物質など、さまざまな原因によって引き起こされます。肺炎がもたらす咳、発熱、息苦しさといった症状は、日常生活に大きな影響を及ぼし、時には生命に関わることもあります。

このセクションでは、肺炎の基礎知識について、その原因、症状、そして私たちの生活に与える影響に焦点を当てて詳しく解説します。

肺炎の症状

症状はさまざまありますが、一般的な症状は「発熱」、「咳」、「呼吸困難」です。

一般的に痛みはありません。それは肺に痛覚神経がないからです。

ただ、肺を守っている胸膜と呼ばれる膜には痛覚神経があるため、肺炎が胸膜まで達すると痛みを生じます。これを「胸膜炎」とよびます。

背中側の胸膜に達すれば背中の痛みを認めます。

息を吸ったり、動いたりして胸膜が伸び縮みすると痛みが増悪します。

日常生活への影響

肺炎は、日常生活に大きな影響を及ぼします。

軽症であれば薬を飲むだけで治療できますが、悪化すると入院での治療が必要です。

また、肺炎は重症化すれば命を落とす病気ですので注意が必要です。

日本人の死亡原因の第5位にはいります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/haienkyukin/index_1.html

肺炎の種類と特徴

原因は多岐にわたります。以下は、肺炎の主な種類とその特徴について紹介します。

細菌性肺炎

細菌性肺炎は一般的な原因です。主に肺炎球菌とインフルエンザ桿菌(冬に流行るインフルエンザとは違います)が原因となります。

  • 風邪をひいた後になかなか治らない
  • 途中良くなってたのに急に悪化してきた
  • 痰の色がどんどん汚くなってきた

こんな時に疑います。

基本的に治療は抗生剤という菌を殺す薬を使います。

非定型肺炎

これはウイルスと細菌の中間的な存在です。

若い方に多く感染する傾向があります。

代表的なものに、マイコプラズマ、クラミジアなどがあります。

子供が感染することが多く、親にうつるケースがあります。

  • 症状は痰の絡まない咳
  • 強い頭痛(肺外症状)

を認めます。咳症状が少なく、頭痛がメインとなると脳外科などを受診しているケースもあります。

ウイルス性と違い、抗生剤が効果あるので、しっかりと診断しましょう。

ウイルス性肺炎

インフルエンザやコロナウイルスによる肺炎が一般的です。

抗ウイルス薬などを使いますが、抗生剤のようにウイルスを殺してくれるわけではないので、対処療法やワクチンなどによる予防・免疫力アップが重要です。

間質性肺炎

間質性肺炎は肺炎の中で専門性が高い肺炎となります。

肺の間質と呼ばれる部分に炎症が起きる現象です。

原因は特発性(原因不明)なものから自己免疫性疾患、いわゆるリウマチなどの膠原病と呼ばれる病気が原因で発生します。

症状には、乾いた咳、運動時の息切れがなどがあります。

治療は原因に応じて変わります。

免疫を抑える薬などを使っていきます。

基本的には専門性が高いので、呼吸器内科に相談しましょう。

肺炎の診断と治療

ここでは、肺炎の診断と治療について解説します。

肺炎の診断方法

胸部レントゲン

肺炎の診断に最も一般的に使用される検査です。

簡易であり、クリニックでも検査を受けられる場合が多いです。

ただ、簡易であり、細かい肺炎はうつらないこともあります。

胸部CT

レントゲンより精密に検査ができます。

細かい肺炎や間質性肺炎などの専門性が高い疾患では必須の検査です。

クリニックでも置いてあるところもありますが、基本的には総合病院での検査となります。

血液検査

直接的に肺炎を診断するものではないですが、

炎症の具合を参考に診断します。

炎症反応はC反応性タンパク(CRP)や白血球数(WBC)で評価します。

また血液検査は重症度の評価に役立ちます。

喀痰検査

痰を調べ、細菌などがいるかを確認します。

肺炎の原因となる菌が出てくれば肺炎と診断されます。

これは細菌性肺炎や非定型性肺炎やウイルス性肺炎を区別するのに役立ちます。

また、原因の菌がわかれば、その菌に効果的な抗生剤が何かわかるので、治療にも役立ちます。

呼吸機能検査

いわゆる肺活量を調べる検査です。

間質性肺炎では肺活量が低下しますので、画像診断とこの検査を併用して診断します。

肺炎の治療法

先ほども軽く触れましたが、治療は原因によって変わります。

細菌性肺炎

抗生剤が治療の中心です。ただ、抗生剤には種類が沢山あり、原因の菌によっても効果がでる抗生剤も違います。

先ほども説明したように、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌が原因として多いため、効果的な抗生剤はペニシリンやセフェム系と言われる抗生剤が有効です。

非定型性肺炎

こちらも抗生剤が有効です。ただ、先ほどの細菌性肺炎とは違い、また別の種類の抗生剤が必要となります。

ペニシリンやセフェム系が効かないので、マクロライド系やキノロン系と呼ばれる抗生剤が必要となります。

ウイルス性肺炎

インフルエンザによる肺炎の場合は抗インフルエンザ薬を使います。

また、細菌性肺炎を合併していると考える場合は追加で抗生剤も使います。

コロナウイルスの場合は抗ウイルス薬と免疫抑制薬のステロイドを併用することが多いです。

間質性肺炎

こちらも原因により変わりますが、免疫抑制薬が中心となります。

主にステロイドを使うケースが多いです。

大きく分けるとこのようになります。 細かい治療に関しては医師と相談しましょう。

肺炎予防のための生活習慣

肺炎を予防するための4つの柱を紹介します。

禁煙

喫煙は肺炎球菌性肺炎、インフルエンザ、風邪の感染リスクを増大させることが報告されています。

Lidia Arcavi et al. Arch Intern Med. Cigarette smoking and infection. 2004.

また、喫煙自体が肺気腫という病気を引き起こし、肺を弱らせるので喫煙は注意しましょう!

インフルエンザ予防

インフルエンザの後にも肺炎は合併しやすいのでインフルエンザワクチンが重要です。

感染の予防効果だけでなく、重症化を抑える効果があります。

そのため、ワクチンは積極的にやりましょう!

肺炎球菌ワクチン

先ほども説明した通り、肺炎球菌は肺炎の原因として多い菌で

原因の20〜30%と指摘されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/haienkyukin/index_1.html

肺炎球菌ワクチンが感染を予防するという報告があります。

E D Shapiro et al. N Engl J Med. The protective efficacy of polyvalent pneumococcal polysaccharide vaccine. 1991.

65歳以上のすべての成人、65歳以下でも基礎疾患がある人はワクチン接種が推奨されています。

日本では2024年4月より以下が定期接種の適応です。

  • 65歳の人
  • 60〜64歳で心臓や腎臓、呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方
  • 60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

※65歳を超える方を対象とした経過措置は2024(令和6)年3月31日に終了

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/haienkyukin/index_1.html

ワクチンの持続効果は報告によりかわります。

1回接種すると5〜10年程度は持続すると言われています。追加接種に関しては現在任意となっています。

追加する場合は最低5年は空けましょう。

コロナワクチン

コロナも肺炎を合併しやすいです。

中等症〜重症に移行させないようにするのが重要です。

二価の追加免疫を含むワクチン接種は、ワクチン接種を受けなかった場合と比較して死亡率の低下と一貫して関連していた。ワクチン接種がなければ、死亡のリスクは、流行しているオミクロン亜系統に応じて 7.3 ~ 16.3 倍高かった

という報告があります!

Amelia G Johnson et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. Notes from the Field: Comparison of COVID-19 Mortality Rates Among Adults Aged ≥65 Years Who Were Unvaccinated and Those Who Received a Bivalent Booster Dose Within the Preceding 6 Months – 20 U.S. Jurisdictions, September 18, 2022-April 1, 2023. 2023.

また、コロナ後遺症についても軽減する効果が期待されています。

Viet-Thi Tran et al. BMJ Med. Efficacy of first dose of covid-19 vaccine versus no vaccination on symptoms of patients with long covid: target trial emulation based on ComPaRe e-cohort 2023.

そのため、ワクチンを接種しましょう。

2024年4月から無料接種はなくなりました。

65歳以上の人は、秋・冬の年1回のワクチン接種が予定されています。

(基礎疾患により一部例外あり)

値段一部自己負担となる予定です。

それ以外の方は任意接種で、全額有料なる予定です

値段はしますが、重症化予防、後遺症軽減に有効なのでぜひ接種しましょう!

新型コロナワクチンについて
新型コロナウイルス感染症のワクチンについて紹介しています。

さいごに

肺炎の重要性を理解し、予防と対策に向けて行動を起こすことは、私たちの健康を守るために不可欠です。 肺炎は、高齢者や基礎疾患を持つ人々にとって特に重大な健康リスクとなります。この記事を読んでぜひ行動を起こしてみてください。

まずはお近くの病院で相談してみてください。

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