あなたの飲んでいる薬は大丈夫?腎機能が悪くなる原因について医師が解説!

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私たちの体は、スーパーコンピューターのような精密機械です。その中でも腎臓は、体内のバランスを保つために不可欠な器官です。しかし、現代社会の生活習慣は、腎臓に負担をかけています。

また、健康のために行っている栄養剤、サプリメント、薬が腎機能に影響を与えるケースがあります。この記事を読んで、腎臓について理解し、正しい知識を身につけ、腎臓をケアしましょう。

もしかして、腎臓が悪い!?

私たちの体は、日々の健康状態を知らせるために、さまざまなサインを発しています。

特に腎臓は、その重要性にもかかわらず、症状が目立ちません。痛みを発することは稀なため、気づかれにくいのです。

しかし、腎臓からの警告信号を見逃すと、重大な健康問題につながる可能性があります。

ここでは、腎機能低下の初期症状として現れる、尿の変化やむくみに焦点を当てて解説します。

尿の変化に注意

腎臓の健康状態は、尿を通じて最もよく表れます。尿の色、量、頻度に変化があった場合、それは腎機能に問題があるサインかもしれません。

例えば、尿の泡立ち、尿が赤くなる(血尿)場合、これは腎臓がフィルターとしての役割を果たせていないことを示しています。

また、尿の量が少なくなる、あるいは逆に多くなることも、腎臓の機能が正常に働いていないことを示します。

個人的な経験として、重要なのは尿の色です。

色は赤くなるのは当然、コーラ色、濁ったオレンジの色などは要注意です!

逆に、黄色、透明は正常な範囲での変化であることが多いです。

また、尿の泡立ちに関してはよく相談されますが、余程ひどくなければ、それだけで病気を強く疑うことは少ないです。

大事なのは尿の検査は苦痛もないので、まずはお近くの病院で検査をしてもらいましょう。

むくみを見逃さない

腎臓は余分な水分や塩分や電解質や毒素を体外に排出する役割を担っています。腎機能が低下すると、この機能に障害が起き、うまく尿を作ることができなくなります。

それにより、水分が体にたまり、むくんでいきます。

足が最初にむくみ始めます。

特に手、顔までむくむ場合には注意が必要です。これらの部位にむくみが見られた場合、腎臓が十分に機能していない可能性があります。

このセクションでは、腎臓が送る警告信号について具体的に解説しました。

自覚症状が起きるまで時間がかかります。

日々の小さな変化に注意をむけ、ここまで解説したような症状があれば検査をうけましょう!

 腎機能低下の主な原因

私たちの健康を守るためには、腎臓の健康を守ることが重要です。しかし、現代の食生活の乱れが引き起こす生活習慣病は、腎臓にとって大きな脅威となっています。特に糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、腎臓にダメージを与え、腎機能を低下させる主要な原因です。このセクションでは、これらの病気が腎臓にどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。

糖尿病と腎臓

糖尿病は、血糖値が高いことにより動脈硬化が進行していく病気です。様々な合併症が起こり、特に有名なのが腎臓です。

透析の原因疾患として、第一位は糖尿病性腎症です

そのため、糖尿病は放置せずしっかり管理しましょう。

高血圧と腎臓

高血圧は、血管に常に高い圧力をかけ続けることで、動脈硬化が進行します。

腎臓の微細な血管も例外ではなく、高血圧が長期間続くと、動脈硬化が進行し、腎機能が低下します。

食生活の乱れ

加工食品やファストフードなど、塩分や糖分が多く含まれる食事は、過剰に摂取すると上記のような糖尿病や高血圧を引き起こします。バランスの取れた食事を心がけることで、腎臓の健康を守ることができます。

このセクションでは、腎機能低下の主な原因として、糖尿病、高血圧、食生活の乱れについて解説しました。

しっかり健康診断を受けて、生活習慣病をチェックしましょう。

腎機能低下を招く怖い原因

先ほどは実際の診療で良くある原因(主に生活習慣病関連)です。

このセクションでは身近にある原因や怖い病気について解説します。

薬物による腎臓への影響

NSAIDs

市販されている一部の薬物、整形外科や内科とかでよく出る薬の1つで、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)があります。

この薬は若い人や腎臓に問題ない人が使えば大丈夫ですが、

  • 腎機能が悪い人
  • 高齢者
  • 長期間使用する人

では腎臓にダメージを与えることが知られています。

昔からよく使っている患者では高齢になっても引き続き使うケースがありますが、その場合は注意が必要です。

また、経験上典型的な腎臓を壊すパターンは

夏場に骨折をした高齢者が、NSAIDsを毎日服用するケースです。

夏場は脱水になりやすく、腎臓も脱水に弱いです。

そのため、薬の作用と重なって腎臓障害が強く出るケースがあります。注意しましょう!

その他薬

色々な薬が腎機能障害を引き起こす可能性がありますが、多いのは抗ウイルス薬や抗菌薬などが多いです。入院するほど重症な場合は感染症や脱水などの影響もあり、起こりやすいので注意深く観察する必要があります。

サプリメント

先ほど代表的な薬を紹介しましたが、正直どんな薬でも可能性があります。

肝臓について解説した時にも説明しましたが、

栄養剤やサプリメントでも起こる障害がでる可能性があります。

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今回紅麹のサプリメントで腎機能障害の報告がでて、世間では騒ぎになっています。

現在調査中ですが、腎臓学会の中間報告が発表されました。データは2024年4月末までの報告になります。

https://jsn.or.jp/medic/newstopics/formember/2-10.php

1年以上服用している人が4割ですが、短期間の服用でも報告があるようです。

40〜50%の症状が下記になります。

  • 倦怠感
  • 食欲低下
  • 尿の異常
  • 腎機能障害

上記の様な症状がある場合は腎臓内科に相談しましょう!

尿閉

こちらはオシッコがうまく出せなくなり、結果として腎臓にダメージが出るパターンです。

原因としてはさまざまな物がありますが

大きく分けると4つになります。

通り道が塞がっている場合

代表的な物が前立腺肥大やガンになります。

男性で前立腺肥大が重度になると、通り道が塞がってしまいオシッコが出なくなります。

また巨大なガンが通り道にできると、塞いでしまいオシッコが出なくなります。

感染症

オシッコの感染により一時的に出なくなる場合があります。

薬剤性

薬が原因で尿が出なくなってしまう場合があります。

抗コリン薬や抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)では物によって起こしますので注意が必要です。

特に、前立腺肥大などの基礎疾患がベースにあると起こりやすいです。

基礎疾患のない人が起こすことは少ないです。

神経の問題

脊髄などの中枢神経の問題や末梢神経の問題で起きます。

脳梗塞をしたり、背骨の中にある神経の通り道(脊髄)が感染したり、脊髄にある神経を強く圧迫された場合に中枢神経がやられます。

末梢神経がやられる場合は糖尿病の神経合併症だったり、パーキンソン病などによる神経障害などで生じます。

脱水(腎血流量低下)

先ほども少し書きましたが、脱水も腎臓の障害を起こします。

熱中症で重度な脱水になるケース

感染症で血圧が下がるケース

出血して貧血になるケース

などが多いです。

その他

腎臓に炎症が起きて腎機能障害を起こす病気があります。なかなか専門性が高い病気になりますので、ここでは簡単に紹介します。

血管炎

全身の血管に炎症が生じる病気です。

自己免疫が関連する疾患が多いです。

糸球体腎炎

こちらは腎臓を構成する糸球体という部分に炎症が起きた状態です。腎炎の中にも様々な分類があり、それにより原因が変わります。

ネフローゼ症候群

こちらは腎臓が本来外に逃げないように保持するタンパクが逃げてしまう病気です。

腎臓が悪いと足がむくみますが、そのむくみが著名となるのが特徴です。

若い人でもおきる場合があるので要注意です。

間質性腎炎

こちらは腎臓を構成する間質という部分に炎症がでている状態です。こちらも原因はさまざまあります。

このセクションでは、腎機能低下を招く原因について具体的に解説しました。腎臓の健康を守るためには、これらの要因に対する意識を高め、予防的な行動を取ることが重要です。

腎機能を守るための生活習慣

塩分の摂取量を管理する

これは高血圧の管理にもつながり、腎臓を保護することになります。

以前こちらの記事でも紹介したように

無症状は危険なサイン?高血圧の症状と原因について医師が徹底解説
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塩分摂取量の目標は男性で1日7.5g、女性で6.5gです。

コントロール不良の高血圧がある場合は1日6g未満です。

平均摂取量は男性で11g、女性で9gとなっていて、かなり摂取量が多いです。

しっかり塩分を管理して、腎臓を守りましょう。

タンパク質の摂取量を適切に

タンパク質は体を構成する重要な栄養素ですが、過剰な摂取は腎臓に負担をかけます。腎機能に応じて、タンパク質の摂取量を調節する必要があります。

腎臓が正常な人のタンパク質摂取量は18歳以上で女性は50g/日、男性は65g/日が推奨されます。

(日本人の食事摂取基準2020版)

腎機能が中等度以上の人(eGFR40程度)はタンパク質制限が推奨されます。

ガイドラインでは0.6〜0.9g/kg/日とされています。

しかし、過剰にタンパク質を制限すると筋力低下を招き、高齢になった際にどんどん動けなくなるので注意が必要です。

バランスの良い食事と運動を心がけましょう。

(エビデンスに基づく慢性腎不全診療ガイド2018年)

腎臓に優しい食事を心がけることで、腎機能の低下を防ぎ、健康な生活を送ることができます。塩分とタンパク質の摂取量を管理しましょう。

腎機能低下を防ぐための日々のチェックリスト

まとめになりますが、まずは自宅で怪しい症状がないか確認しましょう!

以下にまとめてみました。参考にしてみてください。

  • 尿が泡立っている
  • 尿が赤褐色や茶褐色になっている
  • トイレの回数が減った
  • 顔やまぶたがむくむ
  • 靴や指輪がきつくなった
  • 体がだるく、疲れやすい
  • 血圧が高い
  • 味付けの濃いものが好き
  • 朝起きた時から足がむくんでいる

これらの項目に多く当てはまる場合は、腎臓のトラブルの可能性が高いため、医師の診察を受けることをお勧めします。

このセクションでは、腎機能低下を防ぐための日々のチェックリストを紹介しました。定期的な健康診断と併せて、自宅でのセルフチェックを行うことで、早期発見を心がけましょう。

さいごに

いかがだったでしょうか。

腎臓は人間の臓器の要です。腎臓に影響が出るものは数多く、いろいろな要素が絡みあっています。

この記事を読んで少しでも早期発見につながればと思います。

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