総合内科医が解説、線維筋痛症のための漢方ガイド、症状緩和への道

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線維筋痛症は、ただの「疲れ」や「筋肉痛」とは違います。深刻な慢性疾患です。どこの病院に行っても「異常はありません」「他の科の問題でしょう」「精神的な問題でしょう」このような経験はありませんか?

この病気は、全身に渡る激しい痛みという、見えない症状によって、多くの人々の日常生活に影を落としています。しかし、その痛みは、単なる身体的な苦痛にとどまらず、精神的な負担も大きく、うつ病などを併発する恐れがあります。

「もしかして私も・・・」と思う人、「線維筋痛症と言われたけど、どうしたらいいかわからない」と困っている人

この記事を読んで、線維筋痛症について理解し、適切に対処できるようにしましょう。

この記事では漢方についても解説していますので、「漢方を試してみたいけど、どこで相談すうればいいかわからない」そんな方もぜひご覧ください。

線維筋痛症とは

あなたがもし、朝起きたときから体中が痛むと感じ、その痛みが日常のあらゆる動作を困難にしているとしたら、どう感じるでしょうか。線維筋痛症の患者さんは、日々痛みに悩まされています。そして、この病気の最も厄介な点は、原因が明確でないことにあります。現在の医学では、線維筋痛症の原因を特定することはできていませんが、感染症、精神障害、神経障害、糖尿病、リウマチ性疾患などの特定の疾患に関連することが多いといわれています。

(Massimo E Maffei. Fibromyalgia: Recent Advances in Diagnosis, Classification, Pharmacotherapy and Alternative Remedies. Int J Mol Sci. 2020.)

診断

診断でまず重要なのは他に明らかな病気がないかどうかが重要です。

特に注意したいのは以下の病気です。

・敗血症(全身の感染症)

・リウマチ性多発筋痛症

・甲状腺機能低下症

・副甲状腺機能亢進症

・糖尿病

・副腎不全

この辺の病気を否定したら、今度は線維筋痛症らしさを探しに行きます。

以下の表が診断基準となり、この辺の症状を参考にします。

・痛みの場所、部位、数

・疲労感

・起床時の不快感

・認知症状

・頭痛

・下腹部痛

・抑うつ気分

・症状の期間

(参照:線維筋痛症診療ガイドライン 2017年)

治療

治療に関しては、現在のところ根治療法は存在しません。しかし、それは決して希望を失う理由にはなりません。症状の緩和を目指した薬物療法や、運動療法、心理療法など、様々なアプローチがあります。

大事なのは色々な要素が症状を悪化させるので薬物療法だけでなく、運動やメンタルコントロールにも重きを置くことです。

代表的な治療について紹介します。

非薬物療法

●悪化させるもの

・喫煙

・肥満

・身体的・心因性ストレス

これらは悪化の原因となりますので、控えましょう。

●改善させるもの

・有酸素運動

・禅やヨガ

・痛い部位の冷却もしくはあたためる

・森林浴

これらはガイドラインでも推奨されています。

運動することによって一時的に痛みがでる事もあるので、やりすぎは注意ですが

動く事で痛みが軽減したり、うごく事で痛みに意識が集中しないので効果があります。

なので、激しい運動じゃなくても夢中になる作業でも効果あります。

また、定期的な運動はストレスコントロールにも有効です

薬物療法

痛みの軽減に有効性が示されたものをいくつか紹介します。

プレガバリン

神経痛用に開発された痛み止めであり、整形外科的な痛みやしびれの疾患にも使います。

ガイドラインでも強く推奨されています。

副作用としてふらつきや眠気がありますので最初は少量から開始するのが望ましいです。

デュロキセチン

これはうつ病や神経痛に使う薬です。

ガイドラインでも強い推奨がされています。

嘔気や肝障害など認める場合があるので、こちらも少量から投与開始します。

弱オピオイド

弱い麻薬になります。長期の処方はなるべく避けたいですが、突然痛みが強くなった時などに有効なので、どうしてもの時に使いましょう。

(参照:線維筋痛症診療ガイドライン 2017年)

漢方の可能性

現代医学では、線維筋痛症の治療法はまだ完全には確立されていません。抗うつ薬や抗けいれん薬などが処方されることが多いですが、これらは症状を和らげる一時的な解決策に過ぎません。

特に精神的な要素も関与してきますので、そこに対しては漢方による治療が有効性を示す場合があります。

漢方薬は状態によって使うのが違いますので、まずは相談してみましょう。

ここではいくつか代表的なものを紹介します。

四逆散(しぎゃくさん)

柴胡系と言われる漢方の世界でも精神的ストレスが強い人に使っていく薬です。

その基本的な薬となります。

緊張状態が強く、気分が落ち込んだり、イライラしたりとしている場合に使います。

特徴としては痛みの部位が固定されずに色々な部位が痛くなります。

緊張が強いことにより、筋肉も強張っていき、痛みも強くなります。またストレスが多いと不眠にも繋がっていきます。

そのため、この薬で緊張状態をほどき、痛みやストレスを軽減していきます。

疎経活血湯(そけいかっけとう)

漢方の世界では血の巡りが悪くなることを瘀血(おけつ)と言います。

線維筋痛症ではストレスにより血管が収縮しやすく、血流障害が起きやすいと言われています。

(https://www.kampo-s.jp/web_magazine/back_number/270/index2-270___4.htm)

瘀血の場合は夜間に特定の部位が刺すように痛いと言われます。

そのため、このような症状を認める場合はこの漢方を使ってみましょう。

血の巡りを良くして、痛みをとります。

五苓散(ごれいさん)

漢方の世界では水滞という状態があります。

水の分布がうまくいってない状態です。

そのため、足に溜まれば「むくみ」になり、

耳のところに溜まれば「めまい」となります。

特徴として、天気が悪い日に症状が悪化する人、めまいなど起きやすい人はこれに当てはまります

代表的な五苓散を中心に水滞を改善する漢方を使いましょう。

桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

冷えることにより痛みが増す場合は暖める処方をします。

他にも暖める漢方はたくさんあるので、症状により処方を決めていきましょう。

最後に

線維筋痛症は、患者さんだけでなく、その家族や周囲の人々にも影響を及ぼします。日常生活に支障をきたすことがあり、社会的な理解が不可欠です。私たちは、見えない痛みに苦しむ人々に対して、より深い理解と共感を持つ必要があります。この記事を読んで、線維筋痛症に対する知識を深め、より良い対応方法のヒントになればと思います。

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