それは本当にめまいですか?めまいと間違えられる心臓病や低血糖について

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「突然目の前がぐるぐる回って、歩けなくなる」

「一瞬気が遠くなるような感じがして、くらっとする」

「急に冷や汗かいてふらふらした」こんな経験ありませんか?

皆さんめまいがするとよく訴えられますが、本当にめまいなのでしょうか…

失神や低血糖の可能性もあります。

患者さんからすると些細な違いかもしれませんが、診断する医師の立場からすると全く違うものになります。原因を間違えれば適切な治療を行えません。

そのため、今回の記事では

  • めまい、失神、低血糖の違いについて
  • めまいとは
  • 失神とは
  • 低血糖とは

について解説します。ぜひ違いを理解して、上手に病院を受診しましょう。

なぜ違いが重要なのか

めまい、失神、低血糖、これらは一見似ているようで、実は全く異なる医学的状態です。

なぜこの違いが重要かというと、

めまいの場合、1番怖い病気は脳になります。

そのため、「脳卒中」や「脳腫瘍」などに注意していきます。

しかし、失神の場合は1番怖いのは心臓の病気です。「心筋梗塞」や「弁膜症」などに注意します。

このように原因となる臓器が全く変わります。

そのため、患者の症状を間違えて解釈すると答えに辿り着かなくなります。

そのため、違いをしっかり確認する必要があります!

めまいの真実

まず、めまいとは何かを明確にしましょう。めまいは、自分自身や周囲が回転している感覚、またはふらつきや不安定感を感じる状態を指します。これは、内耳の問題、さらには神経系の問題によって引き起こされることがあります。

めまいの種類とその原因

めまいには、大きく分けて2つのタイプがあります。

  • 末梢性めまい

末梢性めまいとは耳に問題があります。

特に末梢性めまいは回転性めまいである場合が多く、まるで自分が回転しているかのような感覚です。これは、内耳の問題が原因で起こります。

  • 中枢性めまい

浮動性めまいは、ふわふわと浮いているような感覚だったり、船の上に乗ってるようなゆらゆらしている場合が多いです。

こちらは末梢性でも中枢性でも起きます。

中枢性めまいは脳の問題です。

本人が元気でもふらついて歩けない場合は強く疑います。

めまいが示す病気

末梢性めまい

BPPV(良性発作性頭位めまい症)

めまいで外来を受診する患者で1番多い疾患です。

三半規管のトラブルで発生します。

疲れやストレスをきっかけに発症します。

頭を動かすと回転するようなめまいが発生しますがじっとすると一旦治ります。しかし、また動くとすぐにめまいが生じます。

耳鳴りはありません。

診断は眼振を確認することや、病歴から診断します。主に中枢性めまいの除外が大事です。

治療は症状を緩和させる対処療法です。

時間と共に改善していきます。治る時間には個人差がありますが多くは1日2日で楽になっていきます。

前庭神経炎

平衡感覚を司る前庭神経に炎症が起きることで発症します。

ウイルス感染で発症することが多く、風邪をひいた後に強いめまいを感じた時に疑います。

BPPVと似ていますが、発熱などの感染を疑う病歴やめまいの持続時間が長い場合に疑います。

BPPVもずっとめまいがしていると感じますが、頭を動かさずにじっとすると一旦治ります。

前庭神経炎ではじっとしていても治りません。

治療は免疫抑制薬(ステロイド)を使う場合があます。そのた耳鼻科を受診しましょう。

メニエール

メニエール病は、内耳にリンパ液がたまることで生じます。

めまい、耳鳴り、聴力低下を繰り返すことで生じます。

繰り返すめまい、耳鳴りがある場合は疑います。

聴力に影響が出るため、耳鼻科で聴力の検査をしましょう。

治療は薬物療法や手術をする場合があります。

耳鼻科で相談しましょう。

突発性難聴

片側の強い耳鳴り、耳閉感、めまいがある場合に疑います。放置すると難聴につながりますので、すぐに耳鼻科に受診しましょう。

治療は免疫抑制薬(ステロイド)などを使います。

中枢性めまい

こちらは頻度は少ないですが、危険なめまいです。まず除外が必要です。

脳卒中

脳出血や脳梗塞でめまいが出る場合があります。

多くは片側(右手右足とか)の麻痺が起きたり、上手く歩けなくなります。

末梢性めまいでも強い症状が出ますが、どんなに頑張っても歩けない場合は中枢性めまいの精査が必要です。

検査はCTやMRIとなります。

脳腫瘍

こちらも稀ですが危険な疾患です。

急に起きる場合もありますが、慢性的にめまいを繰り返している時に注意が必要です。

検査はCTやMRIとなります

自宅でできるめまいの対処法

繰り返しになりますが、

  • 耳の聞こえづらさとめまいを認める場合は耳鼻科に受診しましょう。

難聴につながる疾患の場合があるので注意が必要です。

  • 歩けない場合は中枢性めまいのために精査が必要です。内科や脳外科を受診しましょう。

  • BPPVの場合はなるべく自宅で過ごせる範囲で活動することが重要です。

三半規管を使うことで回復が早まります。そのため、ずっと寝込んでいる方が逆に改善が遅くなるケースがあります。

また、繰り返す人は普段から三半規管を鍛えるために頭を動かす訓練をしましょう。

寝た状態から起き上がったりします。

失神とは何か?

次に、失神について考えてみましょう。失神は、一時的な意識喪失です。通常は血圧の低下や心拍数の変化によって引き起こされ、脳への血流が一時的に減少することで発生します。

めまいと失神の違いとは何でしょうか?

先ほども説明しましたが、めまいは耳や脳の問題で平衡感覚がくるった状態です。

失神とは意識が飛んですぐに戻る状態です。

失神まで行けば倒れますが、前失神という失神の一歩手前の状態もあります。

この場合は少しくらっとするだけです。そのため、これをめまいと感じる人がいます。

なぜこれが重要なのでしょうか?

失神の場合は

  • 心臓
  • 血流
  • 自律神経

が問題となります。

そのため、めまいの病気とは原因が違うので必要な検査も変わります。

失神の原因

代表的な心臓の疾患について紹介します。

不整脈

通常心臓は一定のリズムで動いています。

不整脈とはその動きに異常が起きる病気です。

リズムがおかしかったり、異常に速くなったり、ゆっくりになりすぎたりします。

検査は心電図になります。

不整脈は出たり、消えたりするので、健康診断などの、心電図だけでは見つかりません。

必要に応じて、24時間つける心電図などを使います。

弁膜症

心臓は4つの部屋に分かれています。その部屋1つ1つに扉がついています。それを弁と呼びます。

扉がしっかり開くと、血液が進みます。血液が通ったらしっかり閉まることで逆流を防ぎます。

これに異常が起きた状態を弁膜症と呼びます。

検査は心臓超音波検査になります。

心筋症

心臓はポンプの働きをしています。心臓の筋肉に問題があり上手くポンプとして機能できない状態です。

心筋梗塞や遺伝的な原因など様々です。

検査は心臓超音波検査やカテーテル検査やMRI検査などになります。

心臓疾患は突然死の原因になります。

疑わしい場合は病院で相談しましょう。

低血糖のサイン

次に低血糖について説明します。

低血糖とは

低血糖は、血糖値が異常に低くなる状態で、めまいや失神と間違えられることがあります。

低血糖の症状には、震え、発汗、動悸、急激な空腹感、集中力の低下が含まれます。

さらに低血糖が進行すると意識障害となります。

特徴は糖分を摂ることで回復することです。

だるい時に甘いものを食べると劇的に回復する人は要注意です。

低血糖の原因

低血糖の原因をいくつか紹介します。

糖尿病治療中

最も多い低血糖の原因です。

薬の副作用によるものです。あんまり頻度が多いようなら薬の調整が必要です。

胃の手術を受けている

胃の手術後に低血糖を起こす現象をダンピング症候群といいます。

胃を切除すると、食べ物が腸に直接流れ込んできます。そうする事で急激に血糖が上昇し、その反動で急激に血糖値が下がります。

対策としては、1度にたくさん食べると血糖値が上昇しやすいので、少しずつ食べる事で血糖値の上昇を抑え、低血糖を防ぎます。

インスリノーマー

膵臓に良性腫瘍ができることがあります。

インスリノーマーとはインスリンを大量に出してしまう疾患です。

インスリンとは血糖値を下げるホルモンであり、糖尿病の治療にも使います。

普段は血糖値が高い時だけホルモンが出ますが、インスリノーマーがあると、血糖値が高くなくてもホルモンが出てしまい、低血糖になります。

糖尿病や胃の手術をしていない人が低血糖を繰り返す時に疑います。

検査はCTや血液検査になります。

最後に

いかがでしょうか。

なかなか自己判断は難しいと思いますが、めまいという言葉はなかなか難しいです。

まずは「ぐるぐるまわる、ふわふわする」か「意識が遠のいていくのか」確認してみましょう!

今回の記事を読んで少しでもめまい、失神、低血糖の違いについて、理解し、適切な病院で相談できると幸いです。

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