胃薬だけじゃ治らない! 機能性ディスペプシアの治療薬を解説!

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みなさん、「最近お腹の調子が悪いな」「病院で検査したけど異常ない」「仕事が忙しいときにお腹が痛くなる」こんなことはありませんか?

それは機能性ディスペプシア(FD)かもしれません。

FDは、胃の不調を伴う疾患で、胃もたれや早期の満腹感、食後の胃痛、吐き気などの上腹部不快感を特徴とします。FDは器質的な疾患がない(胃カメラで異常がない)にもかかわらず、多くの人々に影響を与えています。

この記事を読んで、もしも「FDかも?」と思ったらぜひ病院で相談しましょう!

機能性ディスペプシアとは何か?

FDは、胃の機能障害による症状を指します。胃の不快感があるにもかかわらず、胃内の組織的な異常は見られません。

つまり、胃カメラをやっても異常なしと言われます。

疫学

FDは世界的に広く見られ、ストレスや生活習慣が影響します。

世界で5〜11%の人がこの病気を持っていると言われています。

診断が難しいため、見逃されている患者は数多く存在します。

原因

原因は様々な因子が複合的な絡み合っています。

1つを解決すれば全て上手くいくとは限りません。代表的なものを紹介します。

・胃の動きが悪い

・胃酸が多い

・胃が敏感になっている

・ヘリコバクターピロリ菌が感染している

・ストレス

などが原因となります。

その人がどの要素が強いかにより、薬の効きやすさが違います。

症状

  • 胃もたれ: 食後に胃が重く感じることがあります。
  • 食欲低下: 特に緊張すると食べれない
  • 食後の胃痛: 食後に胃が痛むことがあります。
  • 吐き気: 食後に吐き気を感じることがあります。

緊張(大事な発表の前、仕事の日の朝など)で症状が増悪する事が多いです。

検査

  • 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査): 胃内の異常を確認するために行われます。
  • 血液検査:肝臓や膵臓など、全身の臓器を確認します。
  • 腹部CT検査:痛みが強いときに施行します。FDを診断するためというよりは、FD以外に原因がないかを確認します。

実際の治療

大きく分けると、以下の3つが軸となります。

  1. ピロリ菌に対するアプローチ
  2. 胃に対するアプローチ
  3. ストレスに対するアプローチ

1:ピロリ菌に対するアプローチ

胃カメラを行い、ピロリ菌が確認されれば、まずピロリ菌の除菌をします。

それで症状が改善する人もいるためです。

ただ、改善しない場合もあるので、その場合は別の治療に移行します。

2:胃に対するアプローチ

胃酸分泌抑制薬(PPI

胃酸の過剰分泌を抑えます。治療の第一選択となります。

特に、胃酸が多いタイプに有効です。

消化管運動改善薬

胃の運動を改善し、症状を緩和します。

お腹の動きが悪いタイプに有効です。

・アコチアミド:機能性ディスペプシア用の薬です。ガイドラインでも強く推奨されています。PPIだけで改善イマイチの人に使います。

・モサプリド:お腹の膨満感をとります。もう少し症状を楽にしたいときなどに追加で使います。

・メトクロプラミド:吐き気が強いときに使います。毎日飲むよりは、辛いときに頓服する使い方が多いです。

漢方薬

患者の状態に合わせて様々な漢方を使います。

・六君子湯(りっくんしとう):漢方のなかでガイドラインではっきりと推奨されているのはこの漢方です。お腹の動きを活性化させます。もともと胃が弱いタイプ(たくさん食べれない、油っぽいものに弱い)の人に有効です。

3:ストレスに対するアプローチ

認知行動療法

ストレスに対抗するものとして、

・運動

・マインドフルネス

・認知行動療法

などがあります。

どれもうつ病患者に対する研究で効果があることが報告されています。

特に認知行動療法について解説したページがありますので参考にしてみてください。

漢方薬

実際に「うつ病」「パニック障害」など

西洋医学的な病気として発症している方には

抗うつ薬や抗精神病薬が有効です。

しかし、

・機能性ディスペプシア

・過敏性腸症候群

などの方々はストレスが強くありますが日常生活などはおくれる方が多いです。

仕事もして、家のこともやって、でもストレスと戦うので辛い。

実際には「うつ病」のよりこういう人の方が多いです。

こういう状態を長いこと放置しておくと

「うつ病」などの精神疾患に発展します。

また、抗うつ薬や抗精神病薬は

お腹と相性が悪いです。

  • 便秘
  • 気持ち悪さ
  • 食欲不振

などの症状が起きやすいので、

お腹に症状が出てる人たちには使いずらいです。

そのため、漢方薬を使って

「お腹」と「ストレス」をバランスよく

治療しています。

ここでは特にストレスに対して使う漢方薬を紹介します。

〇柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

こちらは漢方の世界でストレスに対抗するための代表的な薬です。

主に不安が強い人に効果的です。

  • ドキドキしやすい
  • 常に先のことを考えては疲れる
  • 緊張するとすごい汗がでてくる
  • ストレスでイライラしやすい

このような人に有効です。

〇半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

こちらもよく使われる漢方です。

こちらでも紹介しています。

特に詰まりを治してくれる要素があるため、

  • 胃の膨満感
  • 喉の詰まり感

に強いです。

さらに、この薬は「抑うつ」に対する効果も持っています。

そのため、ストレスが強くなると

  • 趣味とかやる元気がなくなる
  • 食欲が落ちる
  • なんか詰まっている感じがする
  • 胃酸が逆流してくる感じ、膨満感

などを認める人に効果的です。

〇柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

こちらは柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)の仲間です。

ストレスに効果的なのは一緒ですが、さらに腹痛に対する効果を発揮します。

  • ストレスで胃が痛くなる人
  • 神経質な人

にむいてます。

最後に

いかがだっでしょうか?もしこの記事を読んで思い当たるところがあれば病院で相談してみましょう。

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